[ビター&スィート・フォーチューン]

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「あのさぁ、これって付き合ってるのかなぁ」
 ずいぶんと暖かさが減り、まぶしさが残った夕日の中で、マヤがそんなことを言い出した。
 雅彦は不意を突かれた。
「えっ……僕はそう思ってたんだけど」
 並んで赤い河原を歩く二人は衣替えも終わって長袖の制服を着ている。
 高校生だ。胸の徽章でマヤは三年、雅彦は二年だということが分かる。
 手にはカバンを持っている。帰宅途中なのだ。
 
 マヤの肩までの髪が斜陽にきらめいて、ふわりと揺れる。
 彼女は可愛らしい顔をうつむき加減にしていた。雅彦と目を合わせようとしない。
「なんとなく一緒にいて、なんか流れで付き合ってる感じになってるけど、それでいいのかなーってさ」
 雅彦も、男にしては可愛い顔をうつむき加減にする。
「えと、ぼくは、その、それでいいと思うんだけど……」
 マヤは頭を左右に振って、大きな溜息をついた。
 一歩前に出て、彼を振り返る。
 その顔には明るい笑みが浮かんでいた。
 彼はそれを見て一瞬、ホッとしたがその気持ちはすぐに打ち砕かれた。
「雅彦……鶴見君、あたしたち、やっぱり付き合ってないよ。じゃ、さよなら」
 簡単で決定的で、残酷な言葉だった。
 雅彦は戸惑い、焦り、悲しみ、それに少しの怒りの入り混じった混沌に支配され、何も出来なかった。
 踵を返して、どんどん歩いていくオレンジ色の背中に、ついにひと言の声も掛けられなかった。

 駅のホームで雅彦はつぶやいた。
「飛び込んだら、死ねるかな……」
 だが、それは妄想だけで終わった。
 やってきた電車に力無く乗り込み、いつもは座らない座席に沈み込んだ。

 彼は降りる駅でまるで操り人形のようにエスカレーターで改札まで昇り、抜けた。
 出口は西と東にある。家に帰るには西口だが、彼はそのどちらにも向かわなかった。
 目の前にあった自販機でふだんは買わない缶ジュースを買って、そこでしばらくぼんやりとしていた。
 そうしているうちに日はすっかり沈んだ。
 やがて彼は立ち上がると空き缶を捨て、家の方向とは違う東側から駅を出た。
 ちょっとしたロータリーがあり、しばらく行くと公園があった。
 雅彦は足の向くまま、その中へふらふらと入っていった。

 そこはかなりの広さだった。その上、道は真っ直ぐではなかった。
 高低差もあり、複雑に交差している。おまけに街灯も少なく、桜や楠が生い茂り、見通しがきかない。
 まるで迷路だった。彼は自嘲気味に笑って、そこをあてどなくさまよった。

 ただ、静かだった。
 空気も澄んでいた。
 自分以外、誰も見かけない。
 夜の闇は深く、濃くなっていく。
「ん……?」
 緩やかに曲がっている道の向こうに、何か黒い大きなものが月明かりに照らし出されている。
 そのまま近づくと、テントだった。中から灯りが漏れている。
 ちらりと覗くと中には、フード付きの長いマントのような服を着た怪しげな占い師がいた。
 その姿はちょうど外国の修道僧のようだった。顔はフードの下になっており、見えなかった。
 その前には簡単な机があり、上に小さく薄明るい登山用のようなランプが乗っている。
 その背中側には黒い布を掛けられた大きな箱のようなものがある。
 雅彦は少し不思議に思いながらも中から目を離し、その前を通り過ぎようとした。
 すると突然、呼び止められた。
「そこの君。女の子にフラれたんだろう?」
 雅彦はびっくりしてその声に振り向いた。その内容にももちろんだが、声が若い女の声だったのも驚きだった。
「え、えっと?」
 彼は恐る恐るテントを覗き込んだ。
 占い師はフードを上げて、顔を見せた。
 美貌だった。
 長く黒い髪が仄かに光を反射して輝く。
 淡い灯りに浮かび上がるその白い輪郭は、きれいな卵形をしている。
 目は切れ長だが睨む感じではなく、優しく潤んでいる。
 形の良い唇は赤く濡れている。
 彼女はその艶やかな唇を開いた。
「ひとつ、占ってやろう。こっちへ来なさい」
 その物の言い方は男っぽい。
 マントの下からすっと白い手を差し出し、おいでおいでをする。
 彼はおずおずと応えた。
「え、いや。僕、お金持ってないですし」
 彼女はほんの少し微笑んだ。
「お金はいらない。君の身体があれば良い」
「え、ど、どういう」
 
 彼女は風のように彼の前に来て、彼の唇に唇を重ねた。
 雅彦が喉の奥で慌てたが、彼女は平然とその口の中に舌を挿入していく。
「ん……んふ……」
 彼女はねっとりとその歯や舌を味わうように舐めた。
 雅彦はもはやワケがわからず、ただ、その頬を真っ赤にしている。
 彼女はテントの中に彼を連れ込んで、出入り口のカーテンを降ろした。
 そうして、奥へ行く。黒布を被せられていたのは、ベッドだった。
 二人は腰掛けた。

「ぷは……」
 彼女が顔を離した。
 彼女と彼の唇の間に、唾液の糸が繋がっていた。
 雅彦の頬は朱に染まり、目は宙を見ている。
 彼女はその目を覗き込んで囁く。
「君の名前は鶴見君だな。鶴見雅彦」
 雅彦はただコクコクと頷くだけだ。
「私はリサ、とでも呼んでくれ。そしてこれが私の占い方法だ」
 リサはまた、彼の唇を奪う。同時に彼の制服のボタンをはずしに掛かった。
「んー?! んー!」
 雅彦は正気を取り戻して抵抗しようとしたが、素早く胸をはだけられてしまった。
 リサはその乳首を白く長い指先で攻めた。
「んん!」
 彼は眉をしかめて、なんとかリサから離れた。
 息が荒い。
「な、なんなんですか! これが占いっていったいどういうことです?」
 リサは笑みをこぼしながら、口を手の甲で拭った。
 その瞳は妖しい光を放っている。
「雅彦君。君の血液型はA型。誕生日は二月二十日の魚座だな」
「え、あ……当たってる……な、なんで……」
 リサは彼にまた近づいて、抱きしめる。
「だから、これが私の占い方だと言っている」
 彼女の指が制服のズボンの上から、彼の硬くなった肉棒をさすった。
 彼は声を上げてしまった。
「う……ううっ」
 リサは目を細めて、彼の胸に舌を這わせた。
「ん、どんどん君のことが解るぞ……はぁ……」
 彼の乳首に吸い付いた。
「うあっ!」
 雅彦はびくっと跳ねた。
「ああ、り、リサさん。ぼく、その……」
 彼女は舌を彼の滑らかな腹に移動させていく。
 そして腰の辺りに来ると頭を離して、そのベルトを外した。
 ズボンのジッパーを下げると、グレーのトランクスの前が強く隆起していた。
「顔に似合わず、なかなかの物を持っているな」
 リサはその屹立を中から取り出す。優しく握ってしなやかに軽くしごいた。
 雅彦の息がさらに荒くなった。
 リサが彼の顔を見つめながら、妖艶な笑みを見せる。
「初めてなんだろう。大丈夫だ。私に任せてくれ……あむっ」
 赤くいやらしい唇が彼の陰茎を飲み込む。
「うあっ! り、リサさん……!」
 彼の指がリサの髪をぎゅっと掴んだ。
「んっんっ、じゅぽ、ちゅる、んん」
 リサの頭が滑らかに上下する。
 静かなテントの中で、液体のぬめるいやらしい音だけが響く。
「ん、お、また大きく、んっ、なっら。じゅぷっ、ちゅ」
 雅彦の顎が上がって、快感に顔が歪んだ。
「ああっ、り、リサさん、僕、あっああ」
 彼の腰が突き上げるように動き出す。
「んっ、ふっ、んん、ちゅぷ、い、良いろ、出して、らして、いっぱい、ん、んん!」
 リサの動きが速くなる。
 雅彦は快感が背中を昇ったのか、両手でリサの頭を抑えつけるように腰を振ってしまう。
 リサはその激しい行為に顔を歪めながらも、それに応えるようにさらに彼のモノを吸う。
「んーっ、んぐぅ! ごぅ! じゅぱっじゅぷっちゅるっちゅっ!」
 雅彦の身体が震えた。
「あっ! 出る! 出ます! うううっあっああ――っ!」
「ん! んんん――っ!」
 ビクビクと雅彦が痙攣した。
 リサの赤い唇の間から、白濁した精液が溢れた。
「ん……っ、んぐ……」
 彼女は彼のモノを口に含んだまま、放出されたそれをうっとりと飲み下した。
「んふぅうう……ん、ちゅばっ、ちゅう」
 更に求めるかのように、彼のモノを吸い尽くす。
「うあっ、リサさん、もう、い、今、だしたばっかりだから、ああっ」
 彼女は最後までその熱い塊を飲み込むと、やっと口を離した。
「ん……元気な味だったぞ」
 ぺろりと舌なめずりをする。
 雅彦はぐったりとベッドに倒れ込んでしまう。
 腕を目の上に乗せて、肩で息をしていた。
「はぁっはぁっ……そ、それで占いは……?」
 リサは立ち上がると、フード付きのマントをするりと脱いだ。
 その下は全裸だった。
 まぶしいほどの白い肌がランプの柔らかい光に照らし出された。
 見事なスタイルだ。
 乳房は大きくハリがある。浅い色の乳首。乳輪も大き過ぎず、バランスが良い。
 腰は肉付き良く、しかしシッカリとくびれている。
 縦長のへその下で、陰毛がきれいな菱形に生え揃っていた。
「雅彦君。君のことはだいたい解った。君は付き合っているつもりだった先輩のマヤという子にフラれたんだな」
 彼女はそう言いながら、ベッドに膝を乗せてきた。
「それで意気消沈し、死にたくても死ねず、ふらふらとこの公園に来た」
 リサは彼の頭を胸に抱いた。
「君は運が良い。ちょうど私がここにいたからな」
 彼の髪を優しく撫でる。
「泣きたければ、泣いても良いぞ」
 雅彦は目を潤ませた。
「う……ううう……」
 彼はリサの胸で泣いた。
 リサは子供をあやすように、彼を抱いて背中を撫でた。

 彼はひとしきり泣いて落ち着いた。
 リサは静かに囁いた。
「君に足りないのは自信だ。今からそれをあげよう」
 そう言うと、彼の上にまたがった。
 すでに力を失っていた彼のモノの上に乗り、入れることはせずに腰を動かした。
 陰肉が彼のモノを刺激した。
 その肉の間から、愛液の出すいやらしい音がし始める。
「ん……さすがに若いな。もう硬く、んん、なってきたぞ」
 彼は切なそうな顔でリサを見上げた。
 リサは腰を振りながら、微笑む。
「どうしたいんだ。ハッキリと言わないと解らないぞ」
 彼は顔をまた、真っ赤にした。
 何度が躊躇して、やっとかすれ声で自分の欲求を口にした。
「り、リサさんに、入れたい、です!」
 彼女は穏やかな表情で頷くと、腰を止めた。
「よく言えた。じゃあ、ご褒美だ」
 リサの手が雅彦のモノを優しくつまんで、自分の膣口にあてがう。
「君の童貞、ありがたく貰うぞ……んんん!」
 リサはゆっくり腰を落とした。
「あ、ああっ……お、奥まで、入った……」
「リサさんの中、すっごく締め付けられる……っ……ああ、気持ちいいです」
「わ、私も、気持ちいいぞ。さあ、雅彦君。好きなようにしてくれ」
「はい」
 雅彦は身体を起こし、リサの腰を掴むと一気に突き上げた。
「ふあっ! あああっ、激し、奥、奥に来てるぞ、来てる! うあ、ああん!」
 彼は手を背中に回し、リサを抱き寄せた。
 リサの弾力のある胸がぷるぷると腰の動きに合わせて上下している。
 彼はそのかたほうの乳首を甘く噛んだ。
「うふぅっ! ち、乳首、いい! いい! ああ、もっと! ふあっ!」
 彼は言われるままに、乳首を攻め立てた。
 舐めたり、強めに噛んだり、舌先で転がしたり、思いつく限りの事をした。
「ああん! まさひこ、いい! まさひこの口も、あ、おちんぽ、も、すごくいいいっ!」
 彼女の腰が彼の動きに合わせて、動き出す。
「ああっ、リサさん、リサさん! その動きいいよ! そ、それにすごく締め付けて……っ! うう!」
 淫らな声と荒い二人の吐息がテントの中の温度を上げていた。
「ま、まさひこのおちんぽ、好き好き好きぃいい! あはぁうあ! リサきもちいいの!」
 リサは先ほどまでのクールな印象とは別人のように、乱れた。
「ああっ! り、リサさんって、う、すっごくエッチな、人だったんですね! ん!」
 リサは彼の顔を手のひらで揉むようにしながら、うわごとのように応える。
「ん! ん! あっ! そ、そう! わ、私、すごくエッチなの! ダメなの! おまんこおちんぽ大好きなのぉっ!」
 彼女の腰の動きが速くなる。
「あっ! リサさん! いい! ぼ、ぼくもリサさんとのエッチ、大好きですっ!」
 彼の腰の突き上げもさらに激しくなった。
「ああっ! ぐちゅぐちゅぅうう! あ、お奥ぅ子宮っ! 届いてるの! とろいてるぅうう!」
 二人は溶け合うかのようにその行為に没頭した。
「り、リサ、イきそうなの! イッてしまうの!」
「はぁっはぁっ! あっ、ま、また出ます! 出る! あああっ!出る出る!」
「はっはっあはぁっ! ああ出し、て! 奥にたくさん! まさひこのせーえき、リサにせーえきちょうらいぃぃ!」
 二人はガクガクと最後の振動をした。
「うっうあああ――ッ!!」
「イクッイグッイギュゥ――ッ!! あああああ――ッ!」

 どのくらいの時間が経ったのか。
 二人は疲れ果て、まどろんでいた。
 雅彦が目を覚ますと、彼を見つめるリサの顔があった。
「り、リサさん……その、えと……あ、ありがとうございました」
 リサは彼の顔をつつく。
「雅彦君。君との出会いは運命だったのかも知れない。だから、そんな他人行儀な事を言わないでくれないか」
 彼はきょとんとした。
「ちゃんと言わないと伝わらない、な。うむ」
 彼女は彼の顔を両手で挟むようにして、その瞳を真っ直ぐに見つめた。
「雅彦君。君が好きだ。付き合おう」
 雅彦は一瞬ぽかーんとして、その言葉を理解するのに時間を要した。
 やがて彼は、照れながら頷いた。
「は、はい。喜んで……で、でも」
 リサは優しく笑う。
「実はこの方法での占いが気になるんだろう? でも、これは初めてやったんだ」
「はい?」
「君がちらっとこのテントを覗いたとき、私は一目惚れしてしまった、と言うことさ」
「ええええ?!」
「本当は、相手の手に触れるだけでも解るんだが、ね」
 リサはそう言って、その手を取り、甲にキスをした。
「ん……そうか、まだ私とセックスしたいんだな?」
 彼は真っ赤になった顔を背けた。
 リサがベッドの布の下にある箱から携帯電話を出した。
「でも、今日はもう遅いから、とりあえずメールアドレスを交換しよう」
「はい!」

 それからしばらくのちの、雅彦の学校。
 マヤが雅彦を屋上に呼び出していた。
「あのさ、鶴見……雅彦君。最近、なんか変わったね」
 雅彦は手すりにもたれ掛かった。
「そう、かもな」
 マヤが言いにくそうに、言葉を継いだ。
「それで、その……良かったら今度こそ、ちゃんと正式に付き合わない? わたしたち」
 雅彦は困ったように笑った。だが、しばらくして顔を引き締めた。
 マヤの目をしっかり見て、応える。
「ごめん。もう好きな人ができちゃったんだ」
 マヤは一瞬、息を飲んだ。
 そして、出来るだけ平静を装った。
「あ、そ、そう。こっちこそごめんね。じゃあ、また……」
 マヤは顔を伏せて、走り去った。

 雅彦は顔を上げて、つぶやいた。
「ちゃんと言わないと伝わらない……か……」
 溜息をついた。
 空は蒼く高く、ほろ苦い秋の色だった。

《end》


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