[南の島のクールな彼女ッ!]


topに戻る

18禁のトップに戻る



 俺は、家に帰ると、急いで自室に入り、後ろ手にドアを閉めた。
 鍵ももちろん、閉める。
「ふふふ」
 いそいそと机に座り、パソコンを起動。
「やっと買ったぞ、『南の島のクールな彼女ッ!』」
 これは、いわゆる恋愛シミュレーションゲームだ。しかも、十八禁。
 このゲームは全員が眼鏡キャラだと言うのも、まあ、ウリのひとつらしいが、今時、珍しくもない。
 メインの攻略キャラも、まあ、クールっぽいけど、普通だそうだ。
 お話しも、ちょっと変わった南の島の高校に転校して、色々な女の子と出会うってだけで、特に何のひねりもないと言う。

 だが。
 登場キャラのひとりが、密かに人気を呼んでいるのだ。
 もともとは、本流から外れたキャラが好きなひとたち……俺もそのひとりだが、彼らが『イイ!』ってネット上で絶賛していたんだ。
 俺は、そもそも、そのゲーム自体知らなかった。
 少し興味の湧いた俺は、教えて貰ったソフトメーカーのページへ行った。
 そこで、そのキャラ絵とサンプルの声を聞いて、一撃死を喰らった。
 特に、その男口調。
それは、俺が片思いしているクラスメイト、蒼山 鈴(あおやま りん)に、あまりにもよく似ていた。 
 俺はうかつだった。その場ですぐ、通販で買っておけば良かったのだが、迷ってしまった。
 それで、色々と情報を集めて回っている内に、ある噂が流れた。

“どうもあのキャラには、モデルがいるらしい”

「まさか、蒼山がモデルとか……」
 あの、容姿端麗、才色兼備のパーフェクトソルジャーが、こんなタイプのゲームのモデルなんて、あり得ない。
 あり得ないが、それ故に俺のリビドーに火がついた。
 俺は、すぐさま通販を掛けようと、ソフトメーカーのページに行ってみた。
 だが、すでに売り切れていた。
 それと同時に、この噂についての記事が載っていた。
 このキャラにはモデルはいないし、根も葉もない噂に過ぎないと言うことだった。
 しかし、その対応の早さのせいか、噂は一人歩きをし始める。

“あの世界的に有名な電気街に出没するらしいぞ!”

“俺は見たね! マジで!”

“こっそり写真に撮ったぜ!”

 ……まるで、UMA、未確認生物だ。とりあえず、だいたいのものは見たが、それらは、ほとんどネタだった。
 本物らしいものも、あるにはあったが、確たる証拠はなかった。ネット上などとは、そういうものだ。
 まあ、そんな祭りのような状態が起きたせいで、ほとんどのゲームショップでも売り切れが続出した。
 この時点で、すでにソフト共々、都市伝説にまでなってしまっていた。

 俺は、諦め掛けていた。
 だが、幸運にも、リアルの友達のツテで、地方のショップにあった物をゲットできた。
 向こう半年、購買のコロッケパンを奢るという約束のもとに。
 
 そんな罪なキャラの名は“犬飼レイ”。
 俺はパッケージを開け、取扱説明書のキャラ絵を改めて見た。
 髪は黒髪で、ポニーテール。
 眼鏡のフレームも黒く細い。レンズは楕円形だ。
 目は切れ長で、整った顔立ちだが、やや人形のように冷たい。
 他のキャラに比べると、はっきり言って、地味だ。
 だが。
 俺のツボには、スーパージャストフィットだった。
「イイ! うん、イイよ。やっぱり、イイ」
 ちょっと、自分が気持ち悪くなるが、その感情は押し殺して、DVDをパソコンに挿入する。

 ……
 ……
 ……
 オープニングのムービーが流れる。
 明るい音楽に合わせて登場キャラが、色々な決めポーズをして、流れていく。
「そんなものはいい! 早くレイを映せ!」
 どこかで聞いたようなセリフを思わず吐く。
 場面が変わって、学校の窓から見下ろす絵になる。
 図書室で本を読むレイ。
 真正面から見る構図になって、ちらり、とこちらを見る。
 その口元が、かすかに、笑う。
 ドギュゥゥゥーーーンンンッ!
 脳内のどこかで、なにか発作的にエンジンが回転した!
 ダメだ、完全にやられている!

 ゲームを開始してから、がんばって、いくつかのイベントをこなし……と言うか、一方的に迫られた。
 いきなりの教室での告白に始まり、ふたりきりになると、必ず襲われそうになる。
 例えば、弁当を食べると、そのあと、運動しようと誘われるとか。もちろん、Hな運動なんだが。
 ゲームなんだから、そこで、色々やっちゃってもいいんだろうけど、なぜか俺にはできなかった。
「本当の、蒼山もこんなふうなんだろうか」
 答えの出ない疑問を、心に浮かべながら、ゲームを進める。

 なんとか、常識の範囲内でのデートにこぎつけた。
 待ち合わせ場所の公園。
 南の島らしく、椰子が茂っている。
 待っていると、時間通りに彼女が来た。
 紺とベージュのボーダーシャツに、明るいブラウンの、丈が短い上着を羽織っている。
 下は濃い紺のデニムパンツ。
 淡いピンクのトートバッグを小脇に抱えていた。
 初めて見る私服は、新鮮で、よく似合っていた。
 彼女は、少し笑った。
「来てくれたんだな」

 選択。
 ・来る気はなかった
 ・うん。そりゃ約束したし
 ・うん。私服、似合ってるよ。まるで可憐な花のようだ

 二つ目を選ぶ。
 三つ目が正解なのだろうか。

「うん。そりゃ約束したし」
 ぶっきらぼうに返事をすると、彼女は少し、うつむいて聞いた。
「わたしは、押しつけがましいか」

 選択。
 ・まあな
 ・ちょ、なんだよ、いきなり
 ・いや、その美しさの前では、全て許されるよ

 二つ目を選ぶ。

「ちょ、なんだよ、いきなり」
「わたしは、キミに本当に愛されているのか」
「そ、そりゃあ……」
「愛していると、言ってくれ」
 周りの人が見てる。見てるよ。
「え、えーと、ごにょごにょ」
「聞こえない。もっと大きな声で!」
「なんだよ、解ってるだろう!」
「解らない。解らないから、聞きたいんだ!」
「なんで解らないんだよ?」
「わたしの心は揺らがない。でも、でもキミの心は、揺らがないとは限らないじゃないか」
「そんな事、ねぇよ! 俺も! その! えーと……」
「いや、良いんだ。わたしの片思いでも、良いんだ。わたしがキミを愛しているだけで、良い。それ以上は望まない」
 哀しそうに横を向く。
「ばっかやろう!」
 俺は思わず、彼女の身体を引き寄せ、抱きしめる。
「あっ……」
 俺は彼女の耳たぶに息が当たる距離で、恥ずかしいセリフをつぶやいた。
「……」
 彼女の身体が、一瞬、ぴくりとした。
「……耳元で、そんな言葉を囁くのは、反則だぞ……っはぁ……ん」
 彼女の頬が紅潮しているのが、俺の頬に伝わる。
「これで、両思いだって解ったろ……って、ちょ、握るなって」
 彼女は俺の硬くなり始めたソレを柔らかく触る。
「ふふっ……これもその証拠だな……ところで、わたしは、そろそろ我慢の限界なんだが……」
 まずい。こんな昼間の公園でHなことを始めるわけには……

 選択。
 ・しかたない! このまま、ここで!
 ・理性を取り戻せ! とりあえず、四字熟語を思い浮かべるんだ!
 ・俺はクールに決めるぜ! 軽くキスして、移動を開始する

 だから、一番目は選べないんだよ。二つ目。俺は。

 理性を取り戻せ! とりあえず、四字熟語を思い浮かべるんだ!
 俺の頭に浮かんだ四字熟語。
 
“臨機応変”
 
 だーっ!! ダメだって!
 焦っていると、彼女が少し離れて、俺の目を覗き込む。
「今日は……家に誰もいないんだ」
 お約束、来たー!
「え、えと、それって……」
 彼女は俺の手を取り、その豊満な胸に当てた。
 柔らかい。なんて弾力なんだ。
「さっきも言ったとおり、わたしは、もう我慢の限界なんだ……」
 俺はその泣きそうな、それでいて、力強い決心の言葉に決断した。
「解った。レイの部屋に行こう」

 彼女の部屋は、あまりにもキレイに整理整頓されていた。
 家具類は少なく、机とベッドと本棚だけだ。
 それらはシンプルで、キッチリ配置されている。
 まるで、部屋の広告写真に出てくるような生活感の乏しさだ。
 服は壁に備え付けられたクローゼットの中なのだろう。ちょっと見てみたい気もする。
 違う意味のため息も混ぜつつ、部屋の中を見ていると、彼女が部屋のドアを閉め、鍵まで掛けた。
 さらに次の瞬間には、無駄な動き一つ無く、窓のカーテンを全て引いた。
 なんて手際の良さだ。彼女は良く訓練された兵士なのかも知れない。

 薄暗くなった彼女の部屋。
 彼女の背後から、カーテン越しに日が射す。
 柔らかな光が彼女と彼女の眼鏡の輪郭を、浮かび上がらせている。
 そのレンズの奥から、きれいな瞳が俺を真っ直ぐに見つめていた。
 そのまま、無言で彼女は、上着を脱いだ。
「キミも、脱いで」
 俺はその言葉で、催眠術にかかったような感覚になった。
 俺も、ブラウンの薄いジャケットを脱いだ。
 すると、突然、彼女が俺に飛びついて、激しくキスをした。
「ん……んんっ!」
 彼女の舌が、入ってきた。俺の舌と絡み合い、踊る。
 お互いのあごが、何度も上下する。
「は……ん」
 俺は、自分の顔が熱くなってくるのが解った。
 そのまま、俺は後ろにある海のような蒼いベッドに押し倒された。
「ん、ふぅ、はぁ、ああ」
 彼女は俺の口から、あご、そしてのどまで唇を滑らせていく。
 そこから出る水音は、とても大きく響いて聞こえた。
 彼女は、上半身を起こすと、くねらせるようにしながら、シャツを脱いだ。
 レースを多くあしらってある、薄い水色のブラが、震えるように現れた。
 勝負下着、なのだろうか。胸の下半分を隠すくらいで、上は胸の谷間が見事に出来ている。
 今にもこぼれそうだ。
 脱いだシャツを、ベッドの端に放り投げて俺に向き直る。
「どう……?」
 俺を見下ろして、潤んだ瞳で聞いてくる。
 そのきれいな形の唇、優しい光に輝く白い肌、そして、たわわに実った果実がふたつ。
 さらに驚くほど細いくせに、ちゃんと柔らかそうな腹から腰のライン。
 俺は言った。

 選択。
 ・ちょっと太ったんじゃない?
 ・どうって……?
 ・キレイだよ。まるで美の女神が降臨したようだ

 一番目は完全に喧嘩を売っているとしか思えない。
 かと言って、三番目はずっとこの調子だ。どこのホストだよ?
 やっぱ、二番目だな。

「どうって……?」
 彼女は俺の言葉に、少し笑った。
「もう一度、さっき耳元で言ってくれた言葉を、聞きたいんだ」
「いや、そんなに何回も言うもんじゃ……」
 俺が、口ごもっていると彼女は、腰を落として、大きくなったマイサンの上に乗った。
「いてて!」
 ちょうど、彼女の足の付け根で挟むような形だ。
 彼女は、その体勢のまま、腰を動かした。
 お互いのデニムが、擦れる。
 痛い。痛いけど、気持ちいい。
「うう……!」
「言う気になったか?」
「い、いや、言わねぇ!」
 彼女は、ふむ、と頷いて、俺のシャツのボタンを外し始めた。
 俺はその指先から、彼女のいたずらっ子のような瞳、半分開いた艶やかな口元へ視線を移した。
 そして、その下の大きな二つの膨らみで目が留まった。
「いやらしい目をしているな……」
 少し笑いながら俺の胸をはだけ、すっと、そのしなやかな指を滑らせる。
「男の乳首も、立つんだな」
 俺のそれを、人差し指と中指で、軽くつまんでくりくりと動かす。
「う……」
 思わず、声が出る。
 彼女の吐息が俺の乳首に近づき、次の瞬間、吸い付いた。
「うわっ」
 当然ながら今まで、そんなことを誰からもされたことはない。
 おかげで、跳ねてしまった。
「おとなしくしなさい」
 ちょっとだけ、顔を上げて、目を細めた。
 すぐ、俺の乳首を吸う淫靡な水音が、彼女の声の代わりに聞こえた。
「ううう……」
 俺が耐えていると、彼女の左手が俺の腰のあたりまで滑り降りて、ジーンズのチャックを下げた。
 中から、黒いトランクスが、バナナのように盛り上がった。
 それを優しく手のひらに包み込んだ。
 彼女の息がゆっくり、しかし、荒くなる。
「はぁ……本当に……こんなに熱くて……硬いんだな」
 俺を、覗き込むように見ながら、軽くソレをさする。
 俺の腹に、彼女の大きなマシュマロが乗っている。
 腕は下に行っているから、無防備だ。
 今だ! 素早くブラとその果実の間に、指を差し入れた。
 彼女の硬い乳首に、指が当たる。
「痛?!」
「あ、ご、ごめん」
「優しく……してくれ」
「うん」
 俺は、彼女の胸の先を、指で柔らかく揉むように動かす。
「う、ああ、はぁ……」
 彼女は目を伏せ、息を弾ませた。
「なぜだろう……っ、自分でするのと……全然、違うぅ」
 自分でしてたのか。
 なんて、Hな子なんだ。俺は、なんだかちょっと、いじめたくなった。
「どう違う?」
「んん、すごく……敏感に……ひぅ、なってる」
 俺は、指の間にそのしこりを挟むと強く挟んだ。
「う、あっ……」
「手がお留守だぜ」
 俺が敢えて三流なセリフを言うと、彼女はまた、俺の椰子の木をさすり始めた。
「……こうか?」
 俺を見る彼女の瞳が、潤んでいる。
「うん、そうだ。気持ちいい」
 そう言いながら、俺も彼女の白く丸い弾力を楽しむ。
「あ、だめ……もう、いいかな」
 彼女は俺の返事を聞かずに、俺のジーンズを脱がしに掛かる。
 俺はわざと手伝わず、まどろこしそうにベルトを外す彼女を見ていた。
 彼女は、俺に懇願した。
「……腰を浮かせて……欲しい。そうしないと脱がせない」
 俺は相当にいやらしい笑いを、浮かべていたのだろう。
「バカ……本当にキミはこういうときだけは、強気なんだから」
 俺は腰を浮かせた。
 おずおずと、しかし、トランクスごと膝まで脱がせる。
「わ……」
 初めて見たのか、俺の欲棒に驚いている。
 しばらく、見下ろして、ふいに手を伸ばし。
 一瞬、躊躇する。
「ドキドキ、するものだな」
 優しく握った。
「あ、先端が濡れている……男も濡れるんだ」
 その濡れている先っぽの裏を親指の腹でさする。
「うう、気持ちいいよ……さっきみたいに、軽く握って、うん、それでしごいてみて」
 彼女は、言われたとおりに、その肉棒を手で包み、上下させる。
「ああ……、はぁ、ねばねばしてきた」
 彼女の息がはぁはぁと聞こえ、顔の赤みが増した。
「ん!」
 何か抑え切れなくなったのか、彼女は自分のデニムパンツの中に手を入れた。
「あ、ああ……んん!」
 その股間を見るとすでに、色が濃く変色していた。
 俺の両足をまたいで動く、彼女の腰がなまめかしい。
 その動きは、俺のモノを擦るリズムに合っていた。
「う、ああ」
 だんだんブラの肩ひもが落ち、その胸の硬いチェリーを覗かせた。
 あごを上げ、あえぐ。
 眼鏡が曇る。
 やや眉をしかめ、唇を舌で湿らせる。
 汗が額に浮かび出した。
「わたしは、今、キミの陰茎を擦り……ふぅう、自分の陰核を刺激している……」
 うわごとのように、吐息混じりに言う。
「こんな……ああ、い、いやらしい女は、嫌いっ……か?」
 その言葉を聞くと、俺は一気に射精感が高まった。
「いや、そ、そんな、こと、ない……」
 彼女は、微笑んだ。
「ありがとう……」
 彼女は俺のモノから手を放した。
 ナイスタイミング! もう少し遅かったら、ヤバかったぜ。

 上半身と唇を重ねて、深いキス。
 彼女は、俺の目を優しく見て、ベッドから降りた。
 俺に背を向けてブラを外し、胸を隠しながら、床に置く。
 俺の視線に気付いたのか、こちらを見た。
「あんまり、見るな……」
 強い口調ではない。照れているのかも知れないと思った。
 次に、デニムを脱ごうとした。
 だが、汗やなんかのせいで脱ぎにくそうだ。
「決して、無理にこれを、履いていたわけじゃ、ないからな」
 かわいい。すごくかわいい。
 そう思って見ていると、勢いよくお尻が抜けた。
 だが、そのせいでバランスを崩した。
「ひゃっ!」
 俺は、とっさに起きあがって、彼女を支えた。
「あ、ありがとう。やっぱりキミは優しい男だな」
 俺の胸で囁く。

 彼女は立ち上がり、デニムパンツを、全て脱ぎ捨てた。
 身につけているのは、ショーツと眼鏡だけだ。
 しかし、そのブラと合わせたデザインのショーツは、もはや湿り気のせいで、大事な部分を隠す機能を失っている。
 それでも、必死に隠そうとするかのような、少ない陰毛が見えた。

 俺はベッドに全裸で座っていた。
 彼女は隠し切れていない胸を、なんとか隠しながら俺の前に立った。
 見上げると、少し不安そうな目の色をしていた。
 どうしたの、と聞いてみると不思議な答えが返ってきた。
「セックスをするのは初めてなんだが……ある意味、初めてじゃないんだ」
 どういう事だ。
「……なんだよ、よく分かんねぇよ!」
 俺は思わず、トゲのある言い方になった。
「いや、その……」
 いつも素直にハッキリ、ものを言う彼女が言い淀むなんて、珍しい。
 できるだけ優しい口調になって、問う。
「あー、えーと、この際だからさ、隠し事は無し、ね?」
 彼女は、また、どんどん赤くなってきた。
「さっきも……見たように……その、じ、自分で……」
 顔を逸らす。
 俺には、ピンときたね。すかさず、意地悪な口調で聞く。
「ほほう。自分で、なんなのさ?」
 ううう、と彼女の喉から声にならない声が出た。
 さすがにそういう羞恥心はあるんだ。
「ほら、ハッキリ言って」
 俺の顔をちらっと見て、観念したようだ。
 俺はよほど、期待に満ちた目をしていたのだろう。
 彼女はつぶやいた。
「じ、自分で、その……お、オナニーを、してました」
 言った。しかもなぜか、ですます調。
 俺の股間がさらに、ファイトー!いっぱーつ!
「道具を使って?」
 もう、彼女は、体中が紅い。
「はい」
 俺はさらに質問する。
「俺のこと、考えながら?」
 彼女は、そのメロンのような胸を、ぎゅっと腕で締め付けた。
 いっそう、谷間が深くなった。
「はい」
 そう言って、崩れるように、ひざを付いた。
「だから、もう、これを、くれないか……いや、ください」
 俺のマジカルスティックを、優しく握ると、口に頬張った。
「うあ」
 舌が、先っぽの周りをなめ回す感触が、俺の脊髄を駆け上がる。
「ん、ん、んん」
 くぐもった喉の声が、湿った音と共に響く。
 時折、ずずっ、と吸い込むような音を立てる。
 その振動が、違う快感をもたらす。
 彼女は、頭と手と舌の全てを使って、俺を刺激した。
「あ、俺、やばい」
 先走り液が出る感触があった。
 彼女は、口を離した。
「っぷあ……ああ、キミの味がする……」
 その火照った顔に広がる、妖艶な表情。
 こんなに表情が豊かだったんだ。
「もう……入れさせてくれないか……」
 そう言うと、立ち上がりショーツを脱いだ。
 そのショーツの股間の部分は、ぬめりで糸を引いていた。

 俺は、ベッドに寝ると、彼女が上に乗ってきた。
 ひざで立っている。
 俺の屹立する塔の上には、異世界の門が開いている。
 お互いの目を見て、その意志を確認した。
 彼女が俺のモノをつまんで、そこに導く。
 ぴたりとあてがうと、彼女は腰を落とした。
「はぁあああん!」
 濡れているせいで、実にスムーズに入った。
 その感触は、まさに異世界だった。
 全方向からいっぺんに、ぎゅっと圧力がかかる。
 手で握るのとは違う、俺のモノ全体を包み込む、熱い肉壁。
「これが、キミ自身、なんだな……」
 彼女は、肩で息をしながら、嬉しそうに微笑んだ。
「なんて……熱くて、硬い……で、でも、決して硬すぎない弾力と、反りが、ああ、う」
 彼女の腰が、緩やかに動き出す。
 それは上下ではなく、前後に、滑るように振られた。
「ふぅ……ん、ん!」
 接合部分から、いやらしい水音が上がった。
 彼女の中を、出入りする俺自身。
「気持ちいいよ」
 俺は、その動きに合わせて、腰を突き上げた。
「はぅ! ん!」
 彼女の胸が大きく上下した。
「ああ、奥、に、子宮口に、届いてる……ぅ!」
 彼女の動きが徐々に、弧を描くように変化した。
 俺は、リズムを変え、突いた。
「ああ、ああ、ああああ」
 彼女の喘ぎ声が、のっぺりとしてきた。
 眼鏡が振動で、ズレ始める。
「も、もっと、突いて……っ、うう」
 そう言いながら、自分の胸を揉みしだく。
 俺は、彼女の腰を持ち、起きあがった。
 彼女は、俺に腕と足を絡めた。
 真正面に彼女の、美しく紅潮した顔がある。
 そのやや曇ったレンズ越しのまなざしは、うっとり、と言う言葉がぴったりだった。
 俺は、その艶やかな唇を求めた。
 お互いの舌が愛を交わす。
「んん、ん……」
 激しいキスだった。
 心の奥底から、彼女が欲しいと思った。
 彼女は、ぎゅっと抱きつく。
 俺も、抱きしめる。
 俺の胸で、彼女の胸が潰れる感触があった。
 俺は、彼女の尻に手を回し、支えて、腰を突き上げた。
「はぁん! っ、あっ! はぁっ!」
 彼女の背中が伸び、あごが上がる。
「あ、いい! これ、きもちいっ!」
 その言葉に反応した俺は、今度は短いストロークでかき回した。
「う、あああ! あっ! あっ、いい、いい、あっ! ぐちゃぐちゃ、言ってる!」
 俺は、そのまま、彼女を押し倒した。
 重力が彼女の胸に掛かる。だが、それに勝るハリと艶だ。
 ほとんど、形は変わらなかった。
 俺は彼女の長い足を伸ばして、手に持った。
 そして、そのままロングストロークで腰を前後させる。
「うああぁ……」
 ゆっくり、抜けてしまうほど引く。
「はぁぁぁ……じらさないで、くれ……」
 彼女は目を伏せ、ベッドのシーツを握りしめている。
 俺はゆっくり奥の方まで挿入する。
「うううふぅぅぅ……と、届くぅ」
 根元まで送り込んで、急に激しく腰を振った。
「うああっ! ああ!いい、い、いい、激しいの、いい!」
 その口元から、唾液が垂れている。
 眼鏡は、外れそうだ。
「あーっ、あーっ、あああーっ」
 また、彼女の喘ぎ声が平坦になってきた。
 彼女の胸が、ぷるんぷるんと、回っている。
「い、イクの、イク! イクイクイク」
 その叫びが、俺の我慢というダムを決壊させた。
「俺、も、っ、い、イクっ!」
 ガクガクと、壊れるほど彼女の中を突き続ける。
「い、いいよ! な、中で、いいから! 出して! 中で出してッ!」
 一瞬、躊躇したが、もう勢いは止められなかった。
「うん、なか、中で出すよッ!」
「ああっ! いいッ! イッ、イックッ!」
「うあっ!」

 魂が抜ける、とはこういう感覚だろうか。
 俺の中にあった全てを、放出した気がした。
 そしてそれは、そのまま、彼女に注がれた。
「っはぁ、はぁ、っ、はぁ、はぁ……」
 お互いの吐息が世界を、埋め尽くしていた。
 俺は、ひじで身体を支えるのが精一杯だった。
 まだ、俺の分身が彼女の中で、脈動している。
 それを、感じたのか彼女が口を開いた。
「はぁ、はぁ……あ、まだ……出てるのか……?」
 俺は照れた。
「いや……元気が収まらないだけだよ」
 そう言って、彼女にキスをした。
 そして、今日、二度目の言葉を口にした。
 今度は、ハッキリと。
「愛してる」
 彼女は、初めて見せる表情をした。
 大きく目を見開いたのだ。
 やがて、かなりハッキリと笑った。
「はい。わたしも、愛しています」
 そう言うと、その目尻から雫がこぼれ落ちた。
「嬉し涙、なんて、初めて、だ」
 そうなんだ。
 俺は、まだ、彼女のことを知らな過ぎる。
「なんか、ごめん。片思いじゃないから。絶対違うから、大丈夫だよ」
 彼女は、笑いながら、眼鏡を上げて涙を拭った。
「うん。うん。ありがとう」
 俺は、またキスをして、彼女に腕枕をした。
 もし、これで子供ができたら、結婚しよう。それが自然だ。
 俺はこの子がいれば、どんな困難でも生きていけるだろうから。
 俺は心に決めると、彼女と、南国の空気にまどろんで行った……
 ……
 ……
 ……
 エンディング曲が流れ出した。
「うーん、イイ。イイね!」
 俺は、ナニを仕舞ったりしながら、泣いていた。
「蒼山……告白してみようかな。いや、別にこんなにHな子だとか、都合が良い子だなんて思ってるワケじゃないけど……」
 誰に言い訳してるんだ。俺は。
 でも、そうだな。
 片思いは卒業しよう。どんな結果でも、イイや。
 このレイみたいに、ハッキリ言ってみるんだ。
 よし! 今度、言ってやるぜ!

 数日後、ばっさり切り捨てられた俺がいた。
 確かに傷ついた。でも、後悔はなかった。
 それも彼女の、ヘンに期待させない、キッパリした性格のおかげなんだと思う。
 何というか、清々しい気分だった。
 そう、この青空のように。
 俺は、少しの感傷と、大きな感謝を胸に、家路についた。

END


topに戻る

18禁のトップに戻る



 
 
 
 
 
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送