[スィート・インストラクション]

topに戻る
18禁コーナートップに戻る

 「……ふぅ」

 玖美子(くみこ)は、いつものチャットから退出した。
 若いっていいな。――玖美子は思う。
 若い子と話していると、好きな彼のことで一喜一憂してる、そのワクワク感が伝わってきた。

 玖美子にもそんな時代が確かにあった。
 学生時代、無我夢中で意中の人になんとか想いを伝えた。
 玖美子の人生で最も愛した人。
 彼は卒業しても、ずっと一緒だと指輪をくれた。

 その夫は今。
 隣のリビングでTVゲームに興じている。

「ふおっ? やべっ! 死ぬ!」

 彼が最近、ハマっているアクションもののゲームだ。
 玖美子は軽く溜息を付く。

 彼女は時計を見る。もう深夜だ。
 強く目を閉じて、伸びをする。
「ん……」
 明日は日曜だからと油断した。少し遅過ぎる。

 玖美子はパソコンの電源を落とすと、自室を出た。
 ふわりとした柔らかそうな肩までの髪がなびく。

 少し歩いて、彼のいるソファの横に立った。
 身長は低く、色白で年齢を感じさせない可愛いらしさを持っている。
 スタイルも身長に見合って、凹凸は少なく少女のようだ。
 シンプルなベージュのパーカーにデニム地のスカートを着込んでいる。

 澄んだ切れ長の目がソファの彼を見下ろした。
 顔は可愛いが表情は乏しい。おかげで怒っているように見える。

 しかし、そうではない。
 それは彼女のトラウマから来ている。
 あまりに厳しい父親のもとで育ったためだ。
 それは横暴で自分勝手で、家庭内暴力に近かった。

 おかげで、ろくに他人ともしゃべれなくなり、表情は硬くなってしまった。

 だが、そんな父親が死に、やっと彼女は解放された。
 その時に、それまでずっと優しく接していてくれた彼に告白したのだ。

「……おやすみなさい」
 やや高いがそれでも静かな声がその艶やかな唇から発せられた。
 彼は玖美子を見ることなく、コントローラを操作している。
「ん、あ、おやすみ。っと! マジか!」
 彼は画面のキャラクターを必死で動かし続けた。

 玖美子の心には、さざ波が立った。
 ――いつものこと。
 だけど。

 恋人から妻になって、もう六年。
 義母さんや実母に孫の顔を見せろとせがまれる。
 だけど。

 彼は玖美子を求めない。
 だからといって、浮気をしているようなそぶりはない。
 そもそも、昔からそうだったのだ。

 それでも恋人同士の頃は、月に一回は彼が玖美子を求めた。
 しかし、結婚してからはそれさえ激減した。
 最後のセックスから、もう二年が経過しようとしている。
 玖美子は我慢の限界に来ていた。

 決して彼が玖美子を愛していなくなったわけではない。
 なぜなら彼は、玖美子に対してセックスはしなくても、頻繁にキスや抱擁はしているからだ。

 ――だったら。

「ん? どうした、玖美子。寝るんじゃないのか」
 夫は画面から目を離さず、問い掛けた。
「……うん」
 玖美子は相変わらず、彼を無表情で見下ろす。

 ――求められないのなら、求めるしかない。

「敏明さん」
「ん? あっ、マジか、うわあ!」
 画面のキャラに感情移入して、叫ぶ夫。

 玖美子はふいに敏明の前に回る。
 その手からコントローラーをむしり取った。
「な、なにすんだ、返せよ!」
 敏明は玖美子を見上げて抗議する。
 だが玖美子はそれを無視して、無言で彼の唇を奪った。
「ん……んむ……ちゅ……」

 TV画面からゲームオーバーの音声が聞こえた。
 玖美子はコントローラーを投げ捨てる。
 床に当たって鈍い音がした。
 彼が驚いて、唇を離そうとする。
「んん? んーんー!」
 だが、玖美子はそれを許さない。
 執拗に彼の口腔内を舐める。
「んふ……ぴちゅ……」
 徐々に彼の口もそれに応じて開かれる。
 アゴが大きく動き、一つの空間になった二人の口の中で、その舌が激しく絡み合う。
「ん、ん……」
 ねっとりと濡れた口唇が滑り、位置を変え、また求める。
「ふぅっ……ふぅん……んちゅぷ」
 玖美子の手が彼の頬を撫でる。髪を梳く。

「んを……」
 玖美子はゆっくりと艶めかしい動作で頭を離した。

 突き出したままの舌先から、唾液の橋が光る。
 その舌を口の中に納めてすぐに、舌舐めずりをする。

 肩で息をしながら、彼の目を覗き込んだ。
 その眼は潤み、頬は桜色に染まっている。
 かすれる声で敏明の耳元に囁く。
「……セックスしたい、の」

 淫獣。
 彼女はその時、一匹の牝と化していた。
 彼の返事も聞かず、その股間に跨る。
 玖美子は彼の身体を抱きしめた。
「ああ……敏明、熱い……」
 彼女の開かれた膝の間、大事な部分の下に、ちょうど彼のモノがある。
 それは熱を持ち始めているとは言え、まだ完全な状態ではなかった。

 彼女は上半身を少し離すと、彼のトレーナーの裾から手を突っ込んだ。
 乳首を人差し指と中指で挟むように、くりくりといじる。
「うぁっ!」
 彼の上げた声を聞いた玖美子の心に、変化があった。
「……かわいい声……もっと聞かせて」
 それはまるで小学生男子が好きな女子をいじめてしまうような、自分を見て欲しい、自分を意識して欲しいという幼稚な願望と酷似していた。

 彼女は彼の乳首を挟む指を、ひねって刺激を与える。
「うっ、うう……!」
 玖美子は薄く笑った。
「興奮……してるのね……おちんちん、大きく、なったよ」
 敏明は息を飲んだ。
 彼のトレーナーをまくり上げる玖美子。
 ほどよく肉の付いた彼の上半身。
 その起った乳首に吸い付く。
「ふあっ! あっ!」
 彼が玖美子の頭を押さえた。
「んちゅ、れろ……」
「う、うう、はぅっ!」
「んふ、どんどん硬くなってるよ、敏明」
 彼の頬が紅潮した。
 玖美子は腰を彼の股間に押しつける。
「ね、挿れたい? 言ってみて……」
 ぐりぐりと腰を動かす。
「ほら、どうしたの、言えないの?」
 彼は切ない顔になっていく。

 玖美子は気付いた。
 その今まで見たことのない夫の表情に興奮している自分自身。
 そして、そういうやり方が彼をも興奮させていることを。

 玖美子は、強く命令した。
「言いなさい!」
 彼は泣きそうに答えた。
「い、挿れたいです……玖美子さん」
 玖美子はその言葉だけで、達しそうになる。
「はぁっ、はぁっ……良い子ね。じゃあご褒美……」
 彼女は膝で立つと、彼の下半身を露出させた。
 その雄々しい屹立に手を添えて、自分のパンツを横にずらした。
「いい? 挿れるよ……。良く見てて……」
 玖美子は徐々に腰を落とす。
 陰茎の先が彼女の敏感な部分を擦り、埋没していく。
「ん、んあああっ……!」
「うあっはっ!」
 びゅくっ、びゅっ!
 彼のモノが激しく脈打った。
「う、嘘、で、出てる? もう出ちゃったの?」
 玖美子が驚いて接合部を見ると、白濁液が溢れてきていた。
 彼が目を背けて、力無く謝った。
「ご、ごめん……」

 その瞬間、玖美子の中でなにかが弾けた。
「この……ッ! ダメちんぽッ! もっと頑張りなさい!」
 彼女は腰を前後に振る。
「んん、ん、ん! ほら、ダメちんぽ! もっと!」
 精液の混じる愛液が垂れ流されていく。
 彼はまた、泣きそうな声を上げた。
「そ、そんな、ああっ!」
 今、出したばかりのペニスに過剰な刺激が与えられる。
 だが、それは彼にとって快感だった。
 すぐに硬度も大きさも復活する。
「ん、あ、いい、気持ちいい! ダメちんぽのくせに!」
 ぐちゅ、べち、ばつ……。
「はぁっ、はぁっ! つ、突いて、突き上げるの!」
 彼の腰が言われるままに上下する。
「ふあん! っそ、そう、いい! きもちいッ! あぅ!」
 玖美子は彼の頭を抱くとさらに命令する。
「わ、わたしのおっぱい、吸いなさい! 早く!」
「は、はい」
 彼女はパーカーの前にあるジッパーを一気に下げる。
 すると、決して大きくはない玖美子の胸が露わになった。
 ノーブラだった。
 彼はその膨らみに、むしゃぶりつく。
「ふぅあッ! 噛んで! 噛むの!」
 敏明は玖美子の乳首を甘噛みした。
「んくぅ! あ、はっ、はぅ! い、いひい!」
 玖美子の腰の回転が上がった。
 うっすらと汗をかいている。
 アゴが上がる。
「あふぅ、ふぅ、あ……ッ……んぐ」
 部屋に響くセックスの水音。
 玖美子はだらしなく口を開けて、うわごとのように叫ぶ。
「お、奥に、奥に来てるぅ! 敏明のちんぽ、奥にぃ!」
 敏明はその声にさらに興奮したのか、力強く彼女を抱きしめる。
「はぁはぁっ、お、俺、また……!」
 玖美子の身体は、ふるふるとわななく。
「ん、ん! い、ひいよ、出して! いっぱい! 奥にぃ!」
 二人の喘ぎと吐息がだんだん激しく強くなる。
「あ、ああっ、で、出る出る出る……っ」
「ん、ん、あぅっ! っあ、ああっ、い、いく、いくぅ」
 お互いが強く抱きしめ合う。
「うぁぁっ!」
「んぁっぁあっ!」

 どくんッ!
 びゅ、びゅっ!
 敏明の精液が、玖美子の子宮奥深くに注ぎ込まれていく。
 玖美子はびくびくと痙攣しながら、淫らな言葉を口にした。
 「……で、出てるぅ……中出しで、い、イっちゃった……」
 まだ、敏明の射精は止まらない。
「ま、まだ……? もう、お腹いっぱいぃ……こ、これ、絶対、妊娠しちゃうよぉ……」
 

 それから、しばらくはまるで獣のようにセックスをしまくった。
 お互いの枷が外れて、本性をぶつけ合えるようになったからだ。

 半年後。
 大きくせり出したお腹を撫でる玖美子がいた。
「……良い子になってね」
 敏明は笑う。
「いや、良い子に育てるんだ」
 玖美子はコックリと頷いて、彼の胸に頭を預けた。

《end》


topに戻る
18禁コーナートップに戻る
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送