「ほう、ここがケンタロウの部屋か」
俺は死ぬ。
死んでしまう。
あまりにもドキドキし過ぎで。
俺のメタボ心臓が今までにない悲鳴を上げている。
なぜなら、俺のヲタク部屋に女の子がいるからだ。
彼女はまるで二次元から出てきたような――そう、ちょうど棚に並べてあるフィギュアみたいな女の子だ。
それもロリ系じゃなくて俺の大好きなクール系のキャラだ。
泉 サヤ。
つい最近、俺の彼女になってくれた人。
しかもイケメンを振ってまで、俺を選んでくれた。
彼女はまぶしいほどにきれいだが、中身はちょーっと変わっていた。
言葉遣いがまず、ある。断定口調というか、男言葉というか。
だが、それ以上に普通じゃない――彼女の言葉を借りるなら、彼女自身の特殊性がある。
俺を選んだ理由がそれを物語っている。
彼女は、太っている男が好きなんだ。
「人形がたくさんあるな。どれもアニメのキャラなんだろう? お、これなんかよくできているな」
有名な造形師が作ったガレキはやはり、目に留まるらしい。眼鏡を人差し指で直すと、指をそのまま唇に当てる。
「ほう……このスカートのドレープはまるで流れるようだな。躍動感と美しさを見事に表現している」
目を輝かせ、感心しながら真剣に見ている。
俺が作ったわけじゃないのに、なぜかちょっと誇らしい。
俺はそんな可愛い彼女を真剣に見てしまう。
その黒髪を取り巻く天使の輪からは、花の香りが煌めきとなって舞いこぼれる。
真っ直ぐな黒い瞳は強い意志と優しさ、そして知性を秘めて輝く。
白く柔らかそうな肌は光そのもののようだ。
その胸の膨らみは制服の上からでもハッキリと分かる大きさ。
短めのスカートにお尻の丸みを浮き上がらせ、そこから美しく伸びる脚は黒いニーソックスに包まれている。
ほんの少し見え隠れする太ももの絶対領域には、きっと甘い罠が仕掛けられているに違いない。
……ってか、俺、キモいぞ!
「どうした、ケンタロウ。息が荒いし、顔も赤いな」
彼女は俺のようすに気が付いて、振り向いた。
ふわりと忍者のように音もなく近づいて、あろうことか俺の額に手を当てた。
アブラギッシュでニキビもある俺の狭い額に!
俺は忍法で影を縫われたように固まった。
「ん? 熱があるみたいだ……ん」
その時、俺の額に柔らかな感触が唐突に訪れた。
何を言っているのかわからねーと思うが俺も何が起きたのか分からなかった……頭がどうにかなりそうだった……。
手を握るとかそんなチャチなもんじゃねぇ。もっと恐ろしい何かの片鱗を味わったんだ。
「ふむ……思い過ごしか」
俺は離れた彼女の今やった行為を理解した。
「え、今、キキキキス、したしたよね? 額、額に、俺の」
俺の言語中枢はバグった。だが、意味は通じたらしい。
「ん? ああ。キス、と言えばそうだな。すまない」
彼女はあまり表情を変えなかった。
だけど、ほんの少し目を伏せたのと、頬にこれまたほんの少し赤みが差したから、恥ずかしがっていると分かった。
俺は壊れた言語中枢にもう一度アクセスした。
「あ、謝らなくても、俺、油とか、あ、顔は洗ったんだよ、でも、その、こっちこそごめん」
もうなんだか分からなくなって、深々と頭を下げた。
少し笑いの混じった彼女の声が聞こえた。
「ふ、君は優しい男だな。まるで……兄のようだ」
顔を上げると、優しい笑みがあった。
「……私が小さな子供の頃の話だ」
彼女の艶やかな口元から思い出が語られた。
「私は身体が弱くて、よく風邪をひいては熱を出していた。でも両親は共働きでね。あまり面倒を見てくれなかった」
彼女の遠い目は古い記憶を見ていた。
「私の兄はそんなとき、いつも今みたいに額に唇を当てて熱を看てくれたんだ。それだけで私の熱はスッと下がるような気がしたな」
彼女の次の笑みは寂しさが支配していた。
「兄は優しかった。とても、優しかったんだ。大好きだった」
沈んだ硬い声が、ほとんどつぶやくように漏れた。
「でも、今はもういない。風邪なんかよりずっと重い病気だったんだ」
俺は……こんなときに掛ける言葉を知らない。
圧倒的に経験値が足りない。
こんなにそれが悔しいと思ったことはなかった。
悩み抜いた長い沈黙の後、結局、月並みなセリフが俺の口から出てしまう。
「……なんか、ごめん……」
彼女はそれを受けて、柔らかに微笑んだ。
「好きだ、ケンタロウ」
ふいに俺の名を呼んで、抱きついてきた。
沈む心とは裏腹に身体が急激な反応を示した。
ドドドド! 俺のッ! 心臓がッ! 超高速に動き出すッ!
あまりの血流に俺は意識がどこかにイキそうだった。
身体は固まってしまって動かない。
今までの人生でこんな事はなかったから、対処の方法が分からないんだ。
だがしかし、三本目の足だけはぐんぐんとそそり立つ。
彼女はうっとりと夢を見るように、うわずった声で俺を撫でくり回す。
「ああ……君のこの丸い背中……太い胴回り……お肉……お兄ちゃん……」
お兄ちゃん。
その言葉にちょっとしたトキメキと反感を感じた。
だが、それ以上に彼女の哀しみが伝わってきた。
俺はそれを感じた途端、自然と彼女を抱きしめていた。
やがて、彼女の嗚咽が耳のそばで響いた。
「う、うう……」
俺はポンポンと背中を優しく叩くようにあやした。
「サヤ……俺がサヤを癒せるなら、いくらでもこうしてていいよ」
人間、真剣な気持ちになったら驚くほどすんなりと、ちゃんとした言葉が出るものなんだ、と思った。
彼女は俺の肩に熱い涙をこぼしてつぶやいた。
「ん……ありがとう。あり、がと……」
また、ぎゅっと俺に抱きつく。
その大きな胸が押しつけられた。
柔らかくお互いの胸が潰れた。なんて気持ちいい感触だろう。
彼女が俺の耳に囁く。
「ケンタロウ。二人きりの時は、その、お兄ちゃん、と呼んでも良いかな」
うわああ! 今、背中がゾクゾクって、ゾクゾクってー!
フツー絶対有り得ない! なんてシチュエーションなんだ!
お兄ちゃん。
それは媚薬のような言葉。
いつもクールな彼女が、俺にだけ甘えている証拠の言葉。
俺、ロリ系はちょっとって思ってたけど、これならアリだな! アリ! 大アリ!
南米はマレーシアに住むというジャイアント・フォレスト・アントだぜ!
俺は天国のような状況に酔ってしまい、彼女の問いに答えられずにいた。
すると、彼女は何を思ったか、いつものように冷静に話し出した。
「いや、君の言いたいことは分かる。君は君であって、私の兄ではない。反感を持つのも無理はない。だから嫌ならそれで」
俺は彼女の言葉を遮った。
「嫌なわけないじゃん。いいよ。好きなだけ呼んでくれよ」
彼女は子犬のように俺の頬に自分の頬を擦りつけてきた。
「ありがとう、お兄ちゃん」
柔らかい。もう、なにもかも柔らかい。
俺だって太ってるから柔らかっちゃー柔らかいんだけど、なんというかそれとは全く質が違う気がする。
彼女はちょっと頭を離して、俺の目を上目遣いで覗き込んだ。
「お兄ちゃん。好きだよ」
はわーっ! し、心臓がもたない!
ああ、神様! 三次元の女の子が嫌いだなんて、僕は自分自身に嘘を付いておりました!
申し訳ありませんでした! 悔い改めます!
彼女は顎を上げて、目を閉じた。
スーパーキッスタイム、キタァァァーッ!
俺は震える手で彼女の肩を優しく抱いて、顔を近づけた。
はっ! 俺はダースベイダーみたいな鼻息に気が付いた!
鼻息を止めるんだ! 嫌われるぞ!
ぐっと、息を詰める。
ああ、クラクラする。酸素欠乏症になるぅ!
俺はそれでもヘタレだから、そーっと唇の位置を確かめ確かめ、ゆっくりと押しつけた。
むにゅ。
それが初めての恋人との、初めてのキスの正直な感触だった。
「ん……」
彼女はその瞬間、びくっとした。
これが肉体のある、血の通った女の子なんだ。
モニター画面やポスターにキスするのとは全然違う。
唇は肉なんだ。熱い。柔らかい。しっとりしてる。
その様々な感覚が俺のエロを刺激した。
俺のモノはまた、ぐんぐんと硬度を増した。
たぶん、先走り液は出まくりだろう。
自分のパンツの中が、ちょっとぬるっとしてる気がする。
「んふぅ……」
彼女の鼻から息が漏れた。
ゆっくりと俺は彼女から頭を遠のけた。
すると、急に彼女はがくっと膝から倒れそうになった。
「あっ! だ、大丈夫?!」
慌てて、前から抱きかかえる。
俺は完全に力の抜けた彼女の重みを両腕に感じていた。
彼女は熱っぽい潤んだ瞳で俺を見た。
「お兄ちゃんのキスで、力が抜けたんだ……責任を取ってくれないか」
俺の脳内のどこかで、蒸気機関車の警笛が響き渡った。
暴走列車だ! 暴走列車様のお出ましだ!
「い、いいの?」
彼女は今まで見たこともないくらい頬を赤らめた。
「そんなことを女の子に確認しないでくれ」
むっはー!
俺はなけなしの体力を使って彼女をお姫様だっこする。
「お兄ちゃん、すごい」
褒められてますます調子に乗った。
出来るだけ胸を張って、堂々とベッドまで彼女をエスコート!
でも、ベッドに彼女を降ろした途端に、息切れがした。
膝を突いて、ベッドに頭を埋める。
「大丈夫か。私のお兄ちゃん王子」
そう心配そうに言いながら、俺の後頭部を撫でた。
お兄ちゃん王子。
お兄ちゃん王子ですよ?
そんな萌え言葉を言われた日にゃあもう夏コミレベルの疲れも一気に吹っ飛ぶってもんさ!
シャキーンと音がしそうなくらいの勢いで立ち上がった。
「お兄ちゃんは大丈夫だぜ!」
「ふふ。よかった」
彼女が微笑みながら、軽く拍手をした。
「じゃあ、お兄ちゃんの一番元気な所を見せてもらうよ」
彼女が俺の正面に座り直した。
「え?」
俺が間抜けな顔をしているウチに彼女は制服のズボンに手を掛けた。
ベルトを外し、ジッパーを降ろす。
「おお……すごいな、お兄ちゃん」
安いトランクスの前から、お兄ちゃんがコンニチハ! していた。
「へぇ……先が濡れてる……これがカウパーというものか……」
彼女は敏感な部分を人差し指で突いた。
「ん」
「む、痛かった?」
「いや、痛くないけど、俺も初めてだからすごい興奮しちゃって」
彼女は妖艶に微笑んだ。
彼女は俺のモノを柔らかく握った。
「ヌルヌルしてる……はぁ、はぁ……」
親指の腹で鈴口を撫でる。
「あ、気持ちいいよ」
彼女の見上げる眼差しが興奮に満ちていた。
「じゃあフェラチオをしてあげよう。初めてだから、巧くできるかどうかは分からないが……」
そう言うと俺のお兄ちゃんジュニアを唇が包んだ。
最初は気持ちいいと思ったんだけど、すぐに俺は痛みに耐えかねた。
「あ、歯が痛いよ、サヤ」
「んん? ん、ん」
彼女は“そう? じゃあこう?”とすぐにやり方を変えた。
「ん、あ、いいよ、それ、あああっ」
彼女は嬉しそうに、俺の陰茎をすすった。
頭を前後させて、いやらしい音をさせる。
「ん、ん、んふ、る、りゅ、ん」
舌が俺の肉棒を弄ぶかのように巻き付いたり、吸ったりした。
「あ、も、ヤバイ。で、出そう」
「んん、出そうらの? ん、らして、いいお、おにいひゃん、んむ、んるっ」
じゅぶ、じゅぼっと、唾液とカウパーが彼女の口の中で混じり合う音がする。
俺は彼女の髪に指を絡めた。
「ぶ、じゅぷ、る、ぷふっ、ず。ずちゅ!」
彼女の動きが激しくなる。
「あ、出る、出る出る……ん、んあ」
彼女はその感覚を察したのか、口を離し手でしごいた。
「いっぱい出して、お兄ちゃん、ねえ、はぁはぁっ、私の口にちょうだい」
彼女は熱っぽい眼で俺を見上げながら、シコシコと粘液まみれの俺自身をしごいた。
その口は大きく開けられた。
舌を突き出し、よだれを垂らしている。
「あ、ああっ! うあああっ!」
どくん!
「ひゃっ!」
俺が発射すると同時に彼女は悲鳴を上げた。
どくっ! どく、どく……
俺の白濁は彼女の口の中どころか、鼻や頬、目の上にまで掛かってしまった。
だらりと頬を垂れ落ちる精液が彼女を汚している。
彼女の美しい顔が俺の精でベトベトだ。
「うあ……あ、あ、はぁっはぁっ……」
俺は今まで感じたことのない疲れと快感の余韻を味わっていた。
「いっぱい出たな、お兄ちゃん……この匂い……いやらしい……」
彼女は恍惚とした表情で、俺の出した体液を指で掬い舐めるのだった。
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