SHINOBI-COOL!!
[破]


[序] へ モドル

[急]へ ススム


SHINOBI-COOL!!トップに戻る
topに戻る

「若、あまり無茶をされては困ります」
 その少女は顔を半分隠したマフラーの奥から、落ち着いた声で言う。
 冷たい青い瞳。
 さっき、伊達さんに刃物を向けていたヤツに違いない。
「なんなんだ、お前!?」
「わたしは……」
 黒ずくめの少女が何か言おうとしたとき、伊達さんが襲いかかる。
「しゃぁあああーっ!」
 鋭い金属音が響いた。
 黒い少女は振り向きざまに、伊達さんの攻撃を、さっきの刃物で弾く。
 すかさず反撃しながら、言う。
「宝王高校 2年B組 伊達 華加(だて はなか)、いや、毒マムシ。……獲物に蛇のようにゆっくり近づいて最後の瞬間、毒でしとめる、か」
 毒マムシと呼ばれた伊達さんは、少し驚いたようすで、黒い少女の反撃を受け流す。

 てか、獲物って俺?!

 そう思っている間にも、硬い鋼のぶつかり合うが幾度も木霊する。
 まるで現実とは思えない。
 伊達さんは、黒い少女の攻撃に押されながら言う。
「く、お前は何者だ!!」
 さらに追い打ちを掛ける黒い少女。
「くどい。敵に名乗る名は、ないと言ったろう」
 黒い少女の鋭い突き!
 だが伊達さんは、それを素早く横に飛びながら避ける。
 同時に、俺に向かって制服のポケットから、何か光るものを投げつける。

 次の瞬間、黒い少女は俺の前にいた。
「く……この程度の毒では、わたしは倒せないぞ」
 どうやら、毒針だったようだ。
「おい! 大丈夫か?!」
 間抜けな質問をしてしまう俺。
「ありがとうございます。若は、お優しゅうございますね」
 あまり抑揚のない声で言う。
「ですが、わたしの仕事は若のお命を守ること。あなたのためになら、わたしの命など要りません」
 そう言うと、短いスカートをめくり、内側から短い刃物を2本、両手に取った。


 ちなみに下着は黒のレースだ。って、何見てんだ、俺!
「しゃぁッ!」
 幾度も毒マムシは、黒い少女に針を投げつける。
 だが、黒い少女はその全弾を、手に持った刃物で払い落としながら、突進する。
 毒マムシは、投げる針が無くなったと見るや、意を決したように刃物を逆手にとって、 自らも黒い少女に猛突進していく。
 お互いが、その攻撃の間合いに達したとき。
 鋼鉄の刃が激突し、激しい火花を散らせた。

 ……しばしの静寂。
 そして。
「うぐぁー! 目が! 目がぁぁ!」
 毒マムシの右目には、折れた刃先が突き刺さっていた。
 目を押さえて膝をつく。
 手元から床に落ちた刃物の先は、折れていた。
 腹にも血がにじんでいる。
 それを見ていた黒い少女には、なんの怪我もなかった。
 彼女は冷徹な言葉を放つ。
「憐れな……無駄な抵抗をしなければ、自らの刃が折れて刺さることもなく、苦しまずに済んだものを」
 黒い少女は、苦しむ毒マムシの背後から近づく。
 手に持った刃物が、届く位置に立ち止まる。
 目の色をひとつ変えず、刃物を振り上げた。
「神仏の元へ逝かれよ」
俺は叫んだ。
「やめろぉぉぉ――っ!」



[序] へ モドル

[急]へ ススム


SHINOBI-COOL!!トップに戻る
topに戻る


 
 
 
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送