[マーメイド・カフェ]

その四


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 暑い。
 背中も焼けるようだ。
「小西君、大丈夫か」
 澄んだ声。
 好きな響きだ。
 俺はうっすらと目を開けた。
 まぶしい。
 太陽を背にしたスクール水着の女の子がいる。
「カワイさん……?」
「誰だ、それは。大丈夫か。わたしは瑞原(みずはら)だぞ」
 聞き覚えのある、名前。
 誰だっけ……。
「って、先輩?」
 そうだ、先輩だ。あのちょっとキモイ、会社の先輩じゃなくて。
 高校時代好きだった、あの瑞原ユキ先輩だよ。
 短めの黒髪で黒縁眼鏡。そうか、だからカワイさんに惹かれたのか。
 なんで今まで忘れてたんだろう。

 俺は頭を振りながら、起き上がる。
 下にはバスタオルが敷いてあった。
 周りをゆっくり見渡す。
 俺の行ってた高校のプール。
 誰もいない。
 セミ時雨が遠くに聞こえる。
 フェンスの向こうにある体育館が、影を濃く落としている。
「小西君、保健室に行ったほうが良くないか」
 膝に手をついて身体を前に曲げ、心配そうに覗き込む先輩。
 胸の谷間が水着の奥から見える。なまめかしい。
「い、いや大丈夫です!」
 俺はとっさに目を逸らした。
 いったい何が起きてるんだ。
「本当か?」
 彼女が俺の胴を挟むように、膝立ちになって腕を伸ばした。
「えっ」
 俺の頭は彼女の腕に導かれ、その柔らかく濡れた胸に埋まった。
「君になにかあれば、わたしは悲しい」
 胸の奥からその鼓動と声が聞こえる。
 これは現実、なのか……。
「先輩」
「ん?」
「俺を叩いて下さい」
「む、君にはそんな趣味があったのか」
「違います!」
「じゃあなんだ。やっぱり、溺れて酸素欠乏症になったのか」
「いいから! お願いします」
 彼女は首をひねりながらも、俺の頭を放す。
「じゃあ、いくぞ」
 俺のほほを派手な音を立てて、ひっぱたく。見事な平手打ちだ。
「うごぉ!」
 痛い。マジで痛い。夢じゃない。
 でも、俺はさっきまでカワイさんと店にいたはずだ。
「小西君、大丈夫か、すまない」
「いえ、いいんです」
 ほほを押さえながら笑った。
 とにかく俺は今、瑞原先輩と誰もいない高校のプールにいる。
 あの当時、声も掛けられなかった先輩と二人きり。
 しかも彼女は明らかに俺に好意を持っている。
 俺は決意した。
「瑞原……ユキさん」
 俺は真っ直ぐ彼女の目を見つめた。
 彼女はそれに応えるように見つめ返す。
 優しく微笑んでいるまなざし。
 俺は体中が心臓になった気がした。激しい動悸を感じる。
 息が荒くなるのを悟られないように、ギリギリで呼吸を抑えつける。
 喉がひりつく、唇も乾く。
 くそ、ちゃんと動け、俺の口! あご! のど! 肺!
 俺は一瞬、息を吸い込んで。
 なんとか声を紡いだ。
「はなたが好きです」
 声が、かすれてしまった。恥ずかしい。真っ赤になったのが自分でもわかる。
 でも彼女は、そんな俺のあごを上げ唇を重ねてきた。
「ん……う」
 彼女は俺の舌に激しく自分の舌を絡ませる。
「はぁ……」
 彼女が顔を離す。唾液の糸が光る。
「わたしも好きだよ、小西……幸喜(こうき)君」
 俺のネッシーがその首を伸ばし、海パンから覗きそうになった。
「ユキ!」
 思わず、く抱きしめる。その素晴らしい弾力を持った2つの乳房が、俺の頬で潰れた。
 頭を下に向けた彼女が耳元で囁く。
「ああ、ん! バカ、強過ぎだ……」
「あわわ、ごめんなさい!」
 腕の力を緩める。胸から顔が少し離れた。
 俺は唇を右胸の上に滑らせ、その中心を探す。すでに硬くなっていたそれはカンタンに見つかった。
 タツノオトシゴのような口をして、ついばんでみる。
「ふあ!」
 彼女の腕が俺の頭を抱く。俺は次に甘く噛んでみた。
「乳首、っは、感じるんだ……」
 俺の肩に掛かる息が荒くなってくる。
 俺は乳首を口で弄ぶ。
 彼女の背中にある俺の右手を水着の肩部分に突っ込み、腕のほうへ引っ張る。先輩の肘で止まるかと思ったが、見事にすり抜けて外れた。
「んん! なんだ、慣れてるのか、あ、ずいぶん手際、が、いいん! じゃないか」
 少しすねたような響きがある。かわいいな、このぅ!
「いや、たまたま上手く行っただけですよ」
 太陽のもと、露わになった優美な曲線を描く乳房。白い。肩口と胸元にある、日焼けの跡がその美白を際立たせているのだ。さらに、やや濡れているせいで陽光を激しく反射している。
 ああ、なぜだ! なぜ、おっぱいとは、これ程までに俺を惹き付けるのだろうかッ!
 俺はそんな事を考えながら、白く丸く柔らかい乳房の中心に吸い付いた。
「うぁ!」
 彼女はあごを軽く上げた。
 頬がやや上気している。
「乳首……もっとぉ」
 スクール水着から片側の乳房だけ露出して、淫猥な声を上げるユキ先輩。
「ユキ……さんは、独りでいつもしてるんですか」
 頷くように顔を戻す彼女。頬の赤みが増す。
「小西君が、悪いんだ……」
 俺は少し笑い、意地悪なことを囁く。
「悪いこと、してるのは先輩じゃないですか」
 舌先で、そのこりこりとした乳首を転がした。
「はっうぅ!」
 彼女は、一瞬、揺れた。俺の肩に乗せた両手に力が入る。
 膝立ちで俺にまたがる彼女の口から、吐息とともに細い銀糸が垂れた。
「はぁぁ、はぁぁ……」
 もの凄いエロさだ。素直な俺の息子はビンビン反応している。
「先輩、俺もう……」
 彼女は薄く笑った。
「ん、わたしも、もう……」
 俺は寝ころんだ。彼女は俺の太ももに腰を下ろすと、俺の海パンをずらした。抑えが効かなくなった欲棒は思い切り起立する。
「おお、なんてすごい……」
 上からまじまじと見下ろす。恥ずかしい。
 俺は返し技を試みた。
「先輩のも、見たいです」
 俺の目を見つめて少しの間があった。
 やがて目を伏せて頷いた。
「ん……いいぞ」
 ユキさんはまた膝で立つ。俺は上半身を起こし、その三角の布に顔を近づけた。
 水着の上と下の間にある水抜きから手を突っ込み、すべすべとした腹を撫でる。
「ひゃっ……」
 そのまま露出していないほうの右胸を、下から支えるように揉む。
「ふぅ……んん」
 そうしながら彼女の水着の下に横から指を入れ、内側にずらした。
 彼女の敏感な部分は、まるでカクレクマノミのようにその陰毛から顔を覗かせている。
「や、あ、やめて、くれないか、恥ず、かしい」
 俺は無視し、そこに舌を這わせた。
「きゅうん!」
 まるでイルカのような声を上げて、背中を反らせる先輩。
 二点攻めだ。
 俺が舌で刺激するたび、彼女の赤い真珠が硬度を増す。
 ついには、その秘肉からはみ出してきた。
 彼女は微細に震え出す。
「あ、あ、だめ、だ、イク」
 俺の頭を一瞬、強く押さえた。
「うっ……あ」
 あとはしばらくその姿勢のまま、断続的な吐息が続いた。
「はぁっ、軽く、い、イった……もう、本当、に入れて、くれないか……じらさないで」
 俺は水着から腕を抜き、後ろに手をついて足を投げ出す格好になる。
「どうぞ、ご自分で」
 彼女は少し困ったように、怒ったように眉をひそめたが、自らの欲望には勝てなかった。
 水着の下を俺がやっていたように横からめくり、ゆっくり腰を落とす。
 俺のホットグリップをそのぬめる肉壷にあてがう。
「入れる、ぞ……」
 いやらしい水音が鳴り、俺は飲み込まれた。

 彼女の中は、まるでたくさんの粒のようにザラザラだった。
 今まで見知った知識とはまるで違う。
「中、すごい、です! うあ!」
 自分の意志に関係なく腰が自動的に突き上げられる。
「う、ん! あ、あ、気持ちいい、か?」
 彼女は俺の直立した熱い肉棒を締め付けた。
「ああ! うあ、やめてください! す、すぐに出ちゃいます!」
 彼女は言うことを聞いてくれない。薄く笑うだけだ。
「出そう? 出そうなんだ? はぁ、っはぁ、まだだぞ、まだ、あ! もう少し、我慢してっあ、欲しい、ん!」
 彼女の腰のグラインドが激しくなる。
 リズミカルに繰り返される接合部分の音が、びっくりするほど大きい。
 俺は彼女の尻を鷲掴みにして、強く突き上げた。
「うあ、あ! 幸喜が、ああ、暴れてる! そう、そこ、いい!」
 彼女がいやいやをするように、頭を横に振った。
 まだ乾いていない髪から水滴が飛び散る。
「いいの! 幸喜の反りが、ん、お腹の内側の、おへその下のところ、こすって、はああっ! そこ! もっと!」
 ユキは片手で自分の胸を揉み始めた。俺は空いているほうの胸にむしゃぶりつく。
「ああっ」
 ユキは背中を反らせた。強い反応だ。
 少し、しょっぱい。汗なのだろう。そう、俺たちは気が付くと汗だくだった。
 ユキは後ろに手をつきながら、腰を上下させる。
 顔を下げ、その接合部を見た。
「じゅぽじゅぽ、聞こえる、じゅぽじゅぽじゅぽぉ」
 彼女がうろんな目をして淫猥な擬音を口走る。
 俺はその言葉に刺激され、一気に屹立が大きくなった。
「あん! 急に太くなったぁ! すごい! ああ!」
 あぐらをかいて彼女を抱きしめる格好になる。
「ユキ、ユキ、出る! 出ます!」
 体中で彼女を愛した。ふたりは重なって揺れる。
「幸喜、幸喜! 中に、中に出していい! あっ、ああ!」
 猛烈な射精感のせいで尻に力が入った。
「うあぁっ!」
「ああああぁぁっ!」
 その瞬間。
 俺たち、ふたりは一体になって震えた。
 意識が真っ白になっていく。
 真っ白に……。

「目が覚めたか?」
 その声に目を開けると、あの店の個室だった。
 スクール水着のカワイさんが心配そうに覗き込んでいる。
「え、俺はどうして……」
 身体を起こす。
「君は射精してそのまま、眠り込んでしまってな。ここまで運ぶのに苦労したぞ」
「え、ああ、そんな事が……すみません。もう、帰ります」
 意識がぼんやりしている。
 俺は立ち上がると、ふらついた。カワイさんが急いで支えてくれる。
「危ないぞ。さ、とりあえず着替えて」
 俺は薄い意識の中で着替えた。なぜか俺は幼児の頃のことを思い出していた。
 母親に見守られながら一生懸命、ボタンを留めた。
 ズボンが上手く履けなくて転んだ。
「うむ。じゃあ、下まで送ってやろう。あまり時間もないしな」
 階段を下りて、早瀬さんのところまで行く。
 キモイ先輩はとっとと帰ったと言う。薄情だな。
 会計はこれほどの設備なのに並の値段だった。

 出口の上り階段。
 俺を見送ってくれていたカワイさんが、ふいに眼鏡を外した。
「これを君に進呈しよう」
 俺の手に強引に握らせる。
「えっ、でも……」
「君に持っていて欲しいんだ」
 その強い瞳に込められた願いを感じて受け取ることにした。
「じゃあ、また」
 彼女にそう言った。だがハッキリとした返事はなく、ただ彼女は微笑んで手を振っただけだった。

 次の日。
 出社すると歩く風俗辞典先輩の巨大な背中が見えた。俺はすぐそばに行き、話しかけた。
「薄情じゃないですか、先に帰るなんて」
 彼は振り向いて怪訝な顔をした。
「むほ? いや、いつもだいたい、おまえが先に帰ってるじゃないか、むふー」
 なんだか話がおかしい。
「え、いや、昨日、一緒に……あの」
 俺は周りを見回し、急に小声にした。
「風俗に、行ったじゃないスか」
 先輩は親指をこめかみ当てる独特のポーズで考えた。
「いや行ってないぞ、むふー。昨日は岩本を誘ったからな」
 俺は、岩本の席を見た。すると、ちょうどこちらに向かって来るところだった。
「おっはー! 小西タン!」
 彼は異様に上機嫌だ。顔がつやつやしている。 「それで先輩! 昨日のあの店良かったですよー」
「むふー! そうだろ、そうだろぉ。やっぱ、可愛い子が多くないとなぁ……」
 二人は俺を無視して、デレデレと昨日の話を始めた。
 俺も彼らを残して自分の席に戻る。
 一体何が起きてるんだろう……。

 退社時間になった。
 昨日のことを確かめるために、俺はあの店のあった繁華街に向かった。
 確かにその場所自体はあった。
 だが、そこは地下に向かう階段もなく、ただの花屋だった。
 俺はワケが解らず、そこに立ちつくした。

「君はわたしの眼鏡を持っていないか?」
 ふいに女性の声が聞こえた。
 その方向を見ると、水仙を持った瑞原さんが微笑んでいた。
 眼鏡こそ縁のないツーポイントフレームだが間違いない。昨日、見たんだから。
 俺が驚いて、息の詰まった魚のように口をぱくぱくさせていると、彼女が微笑んで話し出した。
「さっき、わたしに似たお客さんが来てな。必ず君がここに来るから、そう言うと良い、なんて言い残していったんだ。まさか、本当に来るとは思わなかったよ、小西……幸喜君」
「瑞原……ユキさん、なんでここに」
「名前を覚えていてくれたんだ、嬉しいぞ」
 彼女の頬がほんのりと桜色に染まる。
「ここはわたしの店だからな。居て当然だ」
 思わず、店名を見上げる。
 そこには『フラワー・アリエル』とあった。
「それで、眼鏡とは一体なんだ?」
 俺はカバンに昨日から入れっぱなしだった、眼鏡を取り出した。
 彼女は一目見るなり、それが自分の物だとわかったようだ。
「驚いた……高校時代の黒縁じゃないか……もっと、よく見せてくれないか」
 彼女は近づいてきた。俺は差し出す。
「うーむ、間違いない。このデザイン。これは高校卒業の時に壊れてしまったはずなのに……懐かしい……」
 彼女は、ふいに後ろを向き眼鏡を掛け替えた。
 こちらを向き直る。
 ああ、あの時のままだ。
 少し頭を斜めにして、眼鏡のレンズの両端を持つポーズを取る。
 そのまま俺を見つめた。
 うん。何年経っても、変わってない。
 やっぱり、このひとは美人で、かわいい。
 そんな事を考えながらしばらく見とれていると、彼女はとんでもない発言をした。
「小西君、ずっと好きだった。今からでも、付き合ってくれないか」
「えっ……」
「いや、もう結婚してるとか、付き合っている人がいるとか、そう言うことなら無視してくれて構わない。だが、もし、そう言うことがなければ……ん!?」
 俺は彼女の唇を奪った。
 一瞬、彼女の身体が硬直したが、すぐ俺を抱きしめてきた。
 花々の香りに包まれて、俺たちは長いキスをした。

 人魚は人間の男に恋をした報いで泡になって消えるという。
 もしかしてカワイさんも含め、あの店自体がそういうものだったのかもしれない。
 想いを、その人間の思い出に託して……。
 もう本当のことは解らない。
 ただ、今の俺には感謝の言葉があるだけだ。

 ありがとう、マーメイドカフェ。

 END


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