[ココワ恋愛同盟] 2

アピールタイム


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 今日も今日とて、昼休みの学校。
 俺、世界一平凡な男子高校生、神田 祐介(かんだ ゆうすけ)は、女生徒三人組に囲まれていた。
 目の前には、彼女たちが俺のために用意してくれた弁当が、タッパーに入れて置かれている。
 ありがたいことだ。今までモテなかった俺には考えられない、素晴らしい状況だ。
 ま、それも相手が全員、びっくり人間でなければ、もっと素直に喜べたんだけど。
 でも、弁当に罪はない。俺は喉を鳴らしながら、それらのフタを開けた。
「いただきまーす!」
 まずは、ご飯から。
「ん、旨い。やっぱり園伽(そのか)さんのご飯はおいしいな」
 とても高校生三年生には見えない、愛らしい少女。
 彼女は、ほほに手を当てニコニコしている。頭を振ると黒い猫耳カチューシャも一緒に揺れる。

 名前は、宙中 園伽(そらなか そのか)。
 とにかく彼女の言動は、いつもよく解らないが、俺のような凡人には、思いもつかない行動原理を持っているのだろう。
 見た目に寄らず、運動神経も良いし、勉強も出来る。
「冷めてもおいしいでしょ? それこそが、宇宙の真理だよ」

 次に俺は、肉の入ったタッパーに箸を進めた。
「おまえの焼き肉も、ジューシーだし」
 黒く日焼けしたスレンダーな女生徒が、ガッツポーズを取る。
「よっしゃぁぁぁ! それ、オラが焼いたんだぁぁぁ! こんな嬉しいことはないぃぃぃ!」

 この暑苦しい赤毛で短髪の女子は、昇龍寺 炎緒(しょうりゅうじ ほのお)。一年生だ。
 なんでも昇龍寺流格闘術の正当後継者だそうだ。
 だから運動だけを取ると、すでに様々な大学から推薦入学のオファーがあるくらいだ。
 でも勉強はからっきしで、特に英語は全くダメ。常識の範囲ですら解らない。
 その彼女の、勝手に袖を無理矢理引きちぎったに違いない、ノースリーブの制服から覗く腕は筋肉質だ。
 艶っぽさとは無縁で、どちらかというと少年っぽい。

 俺はさらに、大きなタッパーの野菜を頬張った。
「氷羽(ひょうは)の野菜も新鮮で甘いねー」
 長身でスーパーモデルのような女生徒が、微笑み、眼鏡を中指でツイ、と上げる。
「そうだろう? わたしの家の庭で栽培した物だ。もちろん有機農法で、無農薬だぞ」

 彼女はウチのクラス委員長、冷峰 氷羽(れいほう ひょうは)だ。
 この町内では名の知れた、冷峰家のお嬢様。見事な黒髪と、その美しい瞳。
 独特の男口調だが、いつも優しく冷静に物事を判断し、実行する。
 もちろん、彼女もずば抜けた運動能力と頭脳を有する。クラスの憧れの存在だ。

「ごちそうさま! ありがとう、みんな、おいしかったよ」
 俺が礼を言うと、三人はそれぞれに返答した。
「あたしは、米を食べるゆうちゃんも好きー」
「へへへ、祐介様が普通に、オラの肉を食べて下さるのが嬉しいぜぇぇぇ! あああー! もう! だいッ好きだぁぁぁ!」
「どうだ、祐介。わたしと結婚すれば、いつでもその野菜を使って、もっとおいしい料理を食べさせてやるが?」
 俺は曖昧に笑うだけだった。
 氷羽は、ふむ、と不満そうに腕を組んだ。
「しかたないな。では、アピールタイムを終わろう。放課後は、祐介の自由行動に任せる。みんな、抜け駆けは無しだぞ。良いな?」
「おぅッ! ココワ恋愛同盟に掛けて、誓うぜッ!」
「ほーい! 掛けてぇ!」
 三人は、それぞれの教室に戻った。

 さて、放課後になった。
 どうする?

A.炎緒のいる一年の教室に行く

B.氷羽のいる図書室に行く

C.園伽さんのいる三年の教室に行く


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