[始まる季節]
8:閃光の時
1:彼女のいたずら へ
2:わたしたちの部屋 へ
3:君に身をゆだねたい へ
4:世界一柔らかい攻撃 へ
5:花びらの秘境へ
6:若草萌える へ
7:初めての繋がり へ
9:始まる夏 へ
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=涼夏の物語= topに戻る

「……ありがとう。俺も嬉しいよ」
 彼女の中は、熱い。
 外のすっかり傾いた太陽なんかよりずっと、熱い。
 彼女も同じ想いだったようだ。 
「君の陰茎が燃えてるのが解るぞ……」 
 俺の顔が上気するのを感じた。照れ隠しに、口づけ。
 彼女の喉の奥で声が出る。同時に俺のモノに圧力が加わった。 
「あ、締まる」
「……ん? 意識はしてないが……今のキスに反応したんだな……」
 そう言った涼夏の目の動き、まばたき、眉の動き。
 声も口調も冷静だが、はにかんでいるのだろう。
 これだけ顔が近いと、今まで気付かなかった涼夏の細かい表情の変化が手に取るように解る。
 ああ、こんなにくるくると変わっていたのか。
 いつもそばにいて彼女の顔を見ているはずなのに、まだ、知らない顔がある。
 そう思ったとたん、俺の中から情動が湧き起こる。

 もっと、知りたい。彼女の全てを。

 涼夏は俺のようすを見ていぶかしげだ。
「ん、どうした。もう、動いても良いぞ」
 平然としているが、声に少し震えが混じる。痛みに対する不安はまだあるようだ。
「解った。じゃあ、ゆっくり、動くよ」
 時間を掛けて腰を引く。

「うう……」
 涼夏はわずかにうめいた。俺のモノは途中まで抜けた。
 見ると涼夏の愛液ではない、赤いぬめりが俺のモノにまとわりついている。痛々しい。 
 でも、これが彼女の覚悟の証だ。俺はそれに応えなくてはならない。
 腰をゆっくり、前に突き出していく。
 最初より少し、中の滑りが良くなっている。
「ふぅ……あぁ……っ」
 彼女の口が大きめに開く。彼女の手が俺の手首を強く握る。
 俺は根元まで入れた。
「ん……ふぁぁ……」
 その吐息は溜息とも、あえぎともつかない。
 俺は無言で、また、腰を引き始めた。
「ああ……ぁ」
 彼女の眉間に縦じわが寄る。
 モノを半分くらい抜いて、また、腰を突き出していく。
 今度は、かなりスムースに入った。
「ん!ああ……っ」
 声に甘いものが混じり始めている。俺はささやく。
「涼夏……気持ちいいよ」
 その言葉に反応したのか、モノがまた締め付けられた。
「わたしも……はぁ……少し、良くなってきた」
 彼女の手が、俺のほほを撫でる。
「こんなに汗をかいてる……」
 優しいまなざし。
「そっちだって、汗かいてるじゃん」
 夕暮れになって、やや気温は下がったような気もする。だがそれでも、暑い。
 涼夏の額の汗。それに張り付いた、何本かの黒髪がなまめかしい。
 眼鏡はやや鼻にずれて、うすく曇っている。
 めくり上げられた衣服やブラに汗が染み込んで、半透明の濃い色に変わっている。
 先のツンと立ったつややかな胸は、しっとりと輝いている。綺麗だ。
 俺は無意識にその先端に吸い付いた。
「あっ……んっ!」
 涼夏が跳ね、汗が音を立てる。
「はぁ……そんな急に……ずるいぞ」
 上目遣いで、俺を責めるように言う。かわいい。
 モノにさらに血が流れ込む。それに彼女が、敏感に反応する。
「あっ……今、中で大きくなった?」
「うん、その……あんまり涼夏が、かわいかったから」
 その瞬間。
 ぎゅうっ。高圧が俺のモノに掛かった。俺はたまらず、声を出す。
「うぁ……すごい締まっ……」
 彼女は自分の中の何かに、気が付いたように言う。
「そうか……これか。解った」
 ん! と体に力を入れる。ぎゅっ! 中がまた、締まる。
 ああっ……声にならない声を上げる俺。
 彼女は、悪戯っぽい目で問いかける。
「どうだ?」
「う、うん。すごいよ……まるで……」
「まるで?」
「えーと……なんだろ、初めての感じだから、うまく例えられないや」
 照れ笑いしながら、素直に言う。その返答が気に入ったようすの彼女。あでやかに微笑む。
「何にも例えなくて良い。それは、わたしだよ。わたし自身。だから……もっと、わたしを感じてくれ」
 そう言うと、俺の首に手を回して引き寄せる。
 導かれるまま、彼女に覆いかぶさった。
 彼女の胸が、俺の胸筋の硬さに変形する。お互いの乳首が擦れた。
「ん……乳首が硬いぞ」
 そう言う彼女の乳首も、硬かった。
 俺は腕を彼女のわきの下から、背中側に入れ、両肩を抱くような形になる。
 お互いの顔は見えなくなった。ただ、頬は触れ合っている。

 密着。
 彼女の柔らかな体の前面と、俺の硬い体の前面とが、ぴったりとくっついている。
 まるで吸い付き合っているような、その皮膚感覚が快感を増幅する。

 涼夏は俺の背中を撫で、ささやく。
「こうしているだけで……とても、気持ちいいな」
「うん。このまま寝ちゃいそうだ」
「そうだな……でも、ダメだ。最後まで、お願いする」
 言葉はきつくないが、強い意志を感じた。
 俺も同じくらい真っ直ぐな気持ちで、答える。
「うん、解ってるよ」

 俺は体勢を変えずに、再び腰を引き、突き出す。今度はさっきより早く。
 涼夏のあえぎが、耳元で聞こえる。
「うぁ……!」
 もう一度、同じ動作。
「んん!……あはぁ」
 さらに、もう一度。だんだん早くなる。
「ああ!?はぁっ……ん……」
 何かに気付いたような反応。
「んっ、気持ち、んっ、良くなってきたの?」
 俺と揺れながら答える声。
「あっ……はぁっ、さ、さっきまでは本当に、ん、痛かった、ん、痛かったのに……っはぁっ、今、急に、すごく、き、きもち良く……んんぁぁッ!」
 彼女は熱にうかされたように言って、俺に抱きついた。

 腰を止めずに、体勢を変える。俺は腕を立て、彼女を見下ろす形になった。
 彼女の柔軟な胸が、俺の動きに少し遅れながら円を描くように動く。
 その胸の上に、俺の髪から汗が落ちた。それは涼夏の胸の動きによって、彼女の汗と区別が付かなくなった。

「ああ、ああ、んああっ」
 涼夏の唇は、赤い羽の蝶が舞うように開いたり、閉じたりしている。
 俺は、腰を押しつけたり、引いたりを繰り返す。時にゆるやかに、時に早く。
「ああ、きもちい……っあ、あぁー、な、中、もっと突いて!あぁ」
 俺はその切ない願いを受けて、奥のほうに一気に突き上げる。
「はぁぁんっ!いいッ!」
 彼女の腰が一瞬、浮き上がる。俺の動きを止めるほどの、強い締め付け。
 俺たちの接合部からしみ出す淫猥な液体が、机を伝ってポタポタと床に垂れる。

 涼夏も、俺の動きに合わせて、腰を動かし始める。
「はぁ、はぁ、涼夏、腰が、動いてるよ」
 彼女は、眉を寄せて恥ずかしそうに上目遣い。
「莫迦……そんなこと、っはぁ、言わないで……く、れ」
 彼女のそういう弱さを見つけると、どうしてもつい悪戯心が疼いてしまう。
「なんで、腰が、動いちゃうの? 理由を言って」
 一瞬、彼女の目が見開く。えっ、と言う顔。わずかな理性が返答を拒否する。
「い、嫌だ……言えない……んん!」
「やめちゃうよ?」
「え、あ、そ、それは、もっと、嫌……」
俺は、すぐさま動きを止め、モノを抜こうとする。
「あっ! やめないで! 解った、言う。言うから」
 慌てる彼女を見下ろす俺。心の中から軽い優越感が湧くのを感じ、にやりとしてしまう。
「うん、じゃあ、言って」
「き、君の陰茎が、とてもき、気持ち良いから、こ、腰が勝手に動くんだ、ぁあぅあ!」
「そうか、じゃあもっと強く奥まで突くよ!」
 お互いの陰部が激しく打ち付けられ、弾けるような音を鳴らす。
「はぁああぁんん!」
 涼夏は嬌声をあげる。肉と肉がぶつかり合う。汗と愛液が飛び散る。
「ほら、もっと言って……!」
 俺はやや強く、ささやいた。
「あっ、はぁ、君の、固く勃起した陰茎が、あん、わたしの膣の内壁を、摩擦し、て、あ、いいっ!」
 うわごとのように自分の状況を話す。ものすごく、エロい。
 小難しい言葉だからこそ、よけいに卑猥に聞こえる。
「うあ、ク、クリトリスが、君のい陰茎、のピストン運動で、膣に出たり、入ったりしてるぅ……ん!」
 その言葉は、俺の腰のピストン機関にさらなる燃料を投下した。
「はっ子宮の、奥の、ほうまでぇ、あっ届く、とろくぅ!」
 ただの前後運動から、動きに変化をつけることを思い立ち、試してみる。
「あ、え、回転、腰が、回転してる、腰、なか、あああ!」
 彼女の反応は激しい。実験は成功のようだ。
「あっ、らめ、君の腰、ま、回るの、らめぇ、あー」
 やや、ろれつが回らなくなってきている。
「はぁ、はぁ、涼夏、大丈夫?」
「んん、らいじょうぶ、あー、あー! ん! っら、らからぁ、もっと、もっとしてぇ!」
 そう言って、自分の脚を俺の腰に絡みつかせる。
「あーっ! あーっ!」
 彼女の腰が、俺のモノを求めて、強く速く、くねる。
「うあ、涼夏! すっごくきもちいいよ!」
 俺の中から、マグマのような射精感が込み上げる。
 彼女は高いかすれ声を出す。
「い、いいきそ、いきそ!いくいくいく」
「俺も、いきそう! はっ、はぁっ、はぁっ」
「んん! い、いっしょ、いっしょに、いって、あ!」
「いく、うん、いっしょに!」
 浅い呼吸で言い合う俺たち。
 ふたりの振動。
 机の激しい軋み。
 淫猥な肉体の打撃音。
 それらは混じり合い、暗くなった図書室に大きく響く。
 涼夏は、心にある重圧の全てをかなぐり捨てるように、叫んだ。

「ひあああぁぁぁ!い、いくぅぅっ……!」

 その瞬間、光が頭の中に閃いた。
 同時に俺の中から精の濁流が、ものすごい速さで射出された。
 涼夏の脚は天井に真っ直ぐつま先を向け、伸び切っていた。

 ふたりは同時に、真っ白な空間に投げ出された。
 重力から解き放たれたような、浮遊感。
 意識が遠のく。
 静かだ。

 ……
 ……っ……
 はぁ……っ……はぁ……っ……
 俺のモノから緩やかに精が出ていくのを、快感と共に感じていた。
  
 だんだん意識がハッキリしてきた。
 涼夏は、びく、びくと、けいれんしていた。
 急に重力が重くのしかかる。俺は自重を腕で支えられなくなった。
 なんとか肘を突いて、上半身を支えた。彼女に体重を掛けないためだ。
 でも、頭は涼夏の胸にうずめた。
 「はぁ……はぁ……あ、君の……びくびくしてるな……」
 俺は自分でも驚くほど、精の放流を続けた。
 「う……ん……涼夏の中、気持ち、良過ぎだよ……」
 「あたしも……あんなに最初は痛かったのに……最後には……」
 いったん、言葉を切った。
 そして少し、照れ混じりの響きがある声で、続ける。
 「君とのセックスが、すごく気持ち良くなった」

 うわぁ……ヤバイ……。
 やっと精の流出が止まって、力無くうなだれていた俺のジュニア。
 そいつがまるで、しなびた植物に水を与えたように元気になってくる。
 無理だって。もう、無理。でも、わがまま息子は言うことを聞かない。
 涼夏が息を飲む。
「まさか……? 君はすごいな……」
 俺は、顔を上げて涼夏に弁解する。
「いや、無理だよ、三回目なんて無理」
 だが、涼夏は意外そうな顔をする。
「しないのか? わたしは……もっとして欲しい、ぞ?」
 軽く首をかしげ、真っ直ぐみつめる。
 うわ、そんなしぐさ、いつ覚えたんだよ、卑怯だぞ!
 「ん……ほら、大きくなってきた。まだ大丈夫そうじゃないか……」
 言うことを聞け! このバカ息子!
 「ああ、わたしの膣の中が、君の陰茎で、どんどん、いっぱいになってくる……」
 そう言いながら、彼女は俺の背中に手を回し、抱きつく。
 涼夏の胸の弾力が、気持ちいい。
 俺の耳元に息が掛かるようにささやく。
 「今度は後ろから、どうだ?」
 もう、俺に抗う理性はなかった。


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